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商品カテゴリ別・調査データに見るブランド力の理由―NRI BRAND INDEX調査―

「セブンカフェ」はなぜ人気?各社コーヒー飲料のブランド力をNBIで定量分析

 商品やサービス、あるいは企業のブランディングの重要性は年々高まっている。本連載では、野村総合研究所が実施しているブランド力調査「NRI BRAND INDEX」の結果を活用し、特定の商品カテゴリーを取り上げ、各商品ブランドの差別化要素やポジショニングの分析を通じて、ブランディングのポイントについて定量的に分析・解説をしていく。

コーヒー飲料カテゴリーのブランド力調査、1位は「セブンカフェ」

 第1回で紹介したように、「NRI BRAND INDEX」(以下、NBI)とは、野村総合研究所が独自に開発したブランド評価指標だ。過去から蓄積されたブランド力を示す「Baseスコア」、今後のブランド力の方向性を推測する「Leadスコア」、直近のブランド力の変動を示す「Trendスコア」の三つの指標と、それらから合成する総合指標「NBI」で構成される。

 今回は、NBIの調査から「コーヒー飲料」のカテゴリーで高いスコアを獲得するブランドを取り上げ、その人気の理由を紐解いていく。なお、今回の調査におけるコーヒー飲料のカテゴリーに含まれるブランドは、「小売店で売られている缶、パック、ペットボトルのコーヒーやコンビニの店頭で淹れるコーヒー」としている(コーヒー専門店で販売される商品は含まれていない)。

 早速「コーヒー飲料」におけるスコアを見てみよう。図1はコーヒー飲料における「Baseスコア(過去から蓄積されているブランド力)」と「NBI(直近と将来の動きを加味したブランド力)」の上位10ブランドを示したものだ。

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図1.「コーヒー飲料」におけるBaseスコアとNBI
出所:NBI2023(Web調査、2023/2)

 コーヒー飲料では、Baseスコア、NBIともTOP3は変わらず「セブンカフェ」、「スターバックス」、「雪印コーヒー」の順である。3ブランド間のスコア差もBaseスコアとNBIとで大きな違いは見られない。このことからいずれのブランドも、オピニオンリーダーから安定した評価を得ていることが示唆される。

 TOP3が不動である一方、変動が見られるのは4位~6位のブランドだ。Baseスコアにおいては、4位がボス、5位がジョージア、6位がマウントレーニアとなった。しかし、NBIで見ると、マウントレーニアがボスを抜き、ジョージアは7位になる。いずれもよく親しまれているブランドではあるが、オピニオンリーダーの評価や直近の勢いにおいて差があることが見て取れる。

Baseスコアで見たコーヒー飲料TOP3の評価 セブンカフェは高いコスパでファンを醸成

 では、TOP3ブランドの評価にこのような差が生まれる要因は何か。図2に、TOP3ブランドのBaseスコア評価指標をレーダーチャートで示している。

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図2.上位3ブランドのBaseスコア詳細評価
出所:NBI2023(Web調査、2023/2)

 1位のセブンカフェを見ると、「1年以内購入」が突出している。購入できるチャネルの豊富さから、購入経験は他のブランドより多くなることが考えられる。ただ、他の評価指標から読み取ると利便性だけが購入理由ではないことが推測できる。

 セブンカフェは「1年以内購入」のほか「パフォーマンス」「ジャッジメント」「ロイヤルティ」のスコアが最も高い。「パフォーマンス」「ジャッジメント」はともに理性的な理解・評価を表している項目であり、詳細に見ると「おいしさ」や「価格」などの評価が高いことが確認されている。セブンカフェは、高いコストパフォーマンスがロイヤルティを高めており、それによって確実なリピーターを生んでいると考察できる。

 2位のスターバックスについては、「パフォーマンス」「ジャッジメント」も高いが、目に留まるのは「イメージ」および「コミュニティ」「エンゲージメント」の高さだ。「イメージ」はブランドに対する印象を表す項目である。詳細に見ると「ステータス」「センス」などの評価が高いことが確認されている。また「コミュニティ」「エンゲージメント」は、レゾナンス(共感・愛着)の中でも、他者との共感や他者への推奨意向の高さを示している。スターバックスは品質の高さだけでなく、誰かと共感したい特別感を持たせるようなステータスや、センスの高さを感じさせることが、ブランド力の根源になっていることがわかる。

 3位の雪印コーヒーに関しては「パフォーマンス」「ジャッジメント」の評価は決して高くないが「フィーリング」「愛着」のスコアが突出している。雪印コーヒーにおける「フィーリング」の詳細を見ると「親しみやすさ」「安心感」が根底にあり、それが「なくてはならない」という愛着を持たせているとわかる。60年以上続く老舗ブランドの特長が浮き彫りになっている。

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この記事の著者

淺桐 祐(アサギリ ユウ)

野村総合研究所 マーケティングサイエンスコンサルティング部 シニアコンサルタント2019年入社。入社当初より食品・飲料、金融、医薬品等の業界を中心に、生活者の意識データ分析を主として、マーケティング分野における民間企業のコンサルティングに従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/42040

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