部門間の関係構築には「組織の補完関係」への理解が不可欠
個人事業主や中小規模企業を対象にネットショップの開設・運営をはじめ、POSレジやキャッシュレス決済、オンライン予約、アプリ作成など、店舗のデジタル化を包括的に支援するSTORES(ストアーズ)。2022年10月以前は「hey(ヘイ)」という社名でサービスを提供していた。
コロナ禍による巣ごもり需要の拡大にともない、STORES も堅調にビジネスを成長させ、2018年2月には38名だった従業員数は、2022年5月時点で391名へ増加。2022年4-6月期の流通額は約750億円で、創業直後の2018年1-3月期と比較し約5倍に成長している。
STORES は事業会社4社が統合している。個別の会社が集まっているため、当初は各々の異なる企業文化が根付いていたという。山﨑氏は「そうした背景からも、(各人が組織の中で)どのように動いたら成果を出せるのかを意識しないといけない状態でした」と振り返る。アクションの中でもとりわけ意識を持って取り組むのが、組織間のコミュニケーションだ。
「そもそも組織は顧客のためにデザインされ、それぞれの組織は補完関係にあるはずです。しかし、日常業務の中でその意識は失いがちになってしまいます。これが組織間でのコミュニケーションの質が落ちる原因です」(山﨑氏)
組織間のコミュニケーションで留意すべき三ヵ条
山﨑氏は組織間のコミュニケーションで気を付けていることとして「部署to部署ではなく、ビジネスモデルで捉える」「主語を『部署』ではなく『顧客』にする」「同じ1人の顧客課題を解決すると意識付ける」の三つを挙げる。
STORES の各事業では、個人・事業者向けのネットショップのシステムや予約システムなどのビジネスモデルがあり、それぞれ収益構造が異なる。それを理解しないまま「対部署」で話をすると、コミュニケーションがストップしてしまうという。
そうした会話をする際、主語が「部署」だと部署同士の主張に押し付け合いになりがちだ。それを回避するには主語を「顧客」とし、「お客様の要望にセールスやマーケティングといった各部署が何をするか」をコミュニケーションのスタートにする。
「すべての議論や職務は、1人の顧客の課題を解決するためにあります。これを意識してコミュニケーションすることが重要です」(山﨑氏)
では、これら三つをどのように実践しているか。山﨑氏はネットショップ開設支援サービスの「STORES ネットショップ」と予約・会員管理システムの「STORES 予約」を例に、ビジネスモデルを比較しながら説明した。