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『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

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MarkeZineプレミアムセミナー

世界のビッグプレーヤーが示す、これから見えてくる8つの重要トピックス

 本誌『MarkeZine』では、BICPニューヨークオフィス代表の榮枝洋文氏によるコラム『MAD MAN REPORT』 を毎月掲載している。先日MarkeZineプレミアムでは、榮枝氏による60分のウェビナーを開催した。日頃 の情報収集ではなかなか得られない、日本メディアでは見聞きする機会のない情報が満載で、参加者から 大好評だった本ウェビナー。その内容を凝縮して紹介する。

見えていない世界の動きに意識を向けよ

 図表1は、1996年に出版されたスティーブン・R・コヴィーの著書『7つの習慣』で提示されている「時間管理のマトリックス」だ。重要なことと重要でないこと、急ぎのことと急ぎでないこと。読者は、いつもどこに力点あるいはプライオリティを置いているだろうか。

【図表1】スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』で提示されている「時間管理のマトリックス」©2023 SHOEISHA Co., Ltd. / Best in Class Producers Inc. (MarkeZine vol.89)
【図表1】スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』で提示されている「時間管理のマトリックス」
©2023 SHOEISHA Co., Ltd. / Best in Class Producers Inc. (MarkeZine vol.89)

 こうして改めて考えてみると、「日々、急ぎのことについつい引っ張られていること、振り回されていること」に気づくのではないだろうか。

 「2028年の世界へ向けて マーケティングの“変数”を見る」と題し開催された本セミナーのテーマは、「見えないものを見る」。すぐに仕事で役立つような話題や情報ではなく、日頃意識していないために見えていない「急ぎではないけど大事」な世界の動きにあえて目を向け(図表1のBの分野)、未来の可能性を見つけることに重点が置かれた。セミナーで榮枝氏が紹介した8つのトピックスを、以下で紹介していく。

ビッグプレーヤーがひしめき合うCTV広告市場

1.裏にある飴玉で儲ける、Amazonのビジネスモデル

 身近にあるが意外と見えていないかもしれない話題の1つ目として、世界のクラウド市場でダントツ1位と2位の企業はどこか、答えられるだろうか。正解は、1位がAmazon(Amazon Web Services、以下AWS)でシェアは31%、2位がMicrosof(Microsoft Azure)でシェアは20%。2社で世界のクラウド市場の51%を寡占している。

 Amazonの業績については、近年は何となく「赤字」と見聞きする機会が多いが、大きな赤字を出しているのはEC事業のほう。図表2のとおり、AWS事業と合算すると1兆5,920億円の営業利益が残る。Amazon.com(EC)やAmazon Prime(動画サブスク)は販売促進のためのコンテンツで、表からは見えないところ=AWSで売上をあげるというのが、Amazonの事業モデルである。

【図表2】Amazonの収支状況(2020~2022年)©2023 SHOEISHA Co., Ltd. / Best in Class Producers Inc. (MarkeZine vol.89)
【図表2】Amazonの収支状況(2020~2022年)
©2023 SHOEISHA Co., Ltd. / Best in Class Producers Inc. (MarkeZine vol.89)

 「昔、“紙芝居のおじさん”というビジネスが存在していました。無料の紙芝居を見に集まった子供たちに、飴玉を売るモデルです。紙芝居コンテンツは客寄せに過ぎず、その先の飴玉で儲けていました。この“紙芝居モデル”は、今やAmazonのEC事業がBtoBの客寄せコンテンツ、AWSが飴玉となる事業マーケティングとも思えます。D2Cブランドでも多く見られる傾向です」(榮枝氏)

2.Netflixは番組をAWS、広告をMicrosoftへ

 そんな大きなプレーヤーたちも含め、近年大きな動きを見せているのがCTV広告の領域だ。CTV広告の海原に、続々と黒船がやってきている。

 まずは、Netflix。Netflixは、AWSのクラウド、海底ケーブルを用いて、コンテンツを配信している。NetflixとAWSは一心同体なのだ。ところが、2022年7月、Netflixが広告事業のパートナーとしてMicrosoftを指名したことが発表された。同年12月には広告付きの新プランの提供も始まっている。これはつまり、AWSのクラウドの上に、Microsoftのデータが乗るということ。何やら、大きなねじれ現象が起きていないか。

 クオリティの高いコンテンツを、まあまあお手頃な価格で提供し、長年かけて億人単位のサブスクへ拡大させたNetflixが、「ねじれ」を覚悟で突如行った広告事業への転身に、大きな「変数」が含まれる。

3.Disney+の加入者数拡大と赤字増大

 もう1つの大きなプレーヤーは、Disney+。日本ではまだ顧客数が少ないが、これからCTV市場でのシェアが拡大する。

 「Disney+の加入者数が2億500万人を突破しNetflixを超えた」「Disney+の事業は赤字である」といった情報は日本のメディアでも話題にされてきた。こうした表面的な点をどう読むかが問題だ。たとえば、日本では月額990円で提供されているDisney+だが、実はアジア(インド)では月額約99円で提供されている。加入者数の大きな伸びの裏には大赤字の販促キャンペーンがあったというわけだ。当然赤字は拡大しており、2021年に約2,200億円だった赤字額は、2022年には約5,200億円まで増大している。ここまでの販促ができるDisneyの体力にも気づきたい。

 そして、2022年11月、DisneyのCEOにボブ・アイガー氏が復帰した。同氏は、約15年の間Disneyを引っ張ってきた大物で、2年前にCEOを退任していた。Disneyがボブ・アイガー氏を呼び戻したという変化に、このCTV事業拡大での大赤字の「変数」が見える。

4.NetflixとDisney+、広告ビジネスモデルの違い

 競合とされているNetflixとDisney+だが、広告のビジネスモデルを比較すると、アプローチがまったく異なっていることがわかる。NetflixはBtoC、Disney+はBtoBという点からまず違う。詳しくは、過去のMAD MAN REPORTで解説しているので、ぜひ以下からチェックしてみてほしい。

参考記事:2022年10月25日刊行『MarkeZine』82号に掲載

「テレビのD2C化」は第二章へDisney+/Netflix参入で広がる、CTV広告の出し先

※ドル円換算は、1ドル=130円で計算

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/17 08:37 https://markezine.jp/article/detail/42184

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