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マーケティング最新事例2023

スープストックトーキョーから私たちが学ぶこと

 スープストックトーキョーが発表した「離乳食後期の全店無料提供」は、SNSを中心に様々な反響を呼んだ。想定外の事態を受けて同社が発したメッセージは、多くの広報・マーケティング関係者から「完璧な対応」と称賛された。同社のようなブランドの一貫性は一朝一夕で出せるものでも、他社が簡単に真似できるものでもない。その大前提に立ちながら、今回の一件を炎上対応のお手本としてただ眺めるのではなく、ブランドづくりのお手本として紐解き、効率とは無縁のブランディングに日々取り組み続ける担当者へ「気付きの種」を届けたい。

※本記事はMarkeZineプレミアムの有料記事です。6月12日(月)~26日(月)の期間限定で無料公開しています。

離乳食の無料提供を始めた流れ

──Soup Stock Tokyoの一部店舗において実施していた「離乳食後期の無料提供」の範囲を全店へ拡大したことについて、SNSを中心に様々な反応が見られ、結果的に大きな話題を生みました。取り組みを発表する前に、これほどの反響が生じることを松尾さんは想定していましたか。

 全く想定していませんでした。そもそも離乳食後期の無料提供は、当社が運営しているファミリーレストラン「100本のスプーン」で2015年から実施していた取り組みなのです。

スープストックトーキョー 代表取締役社長 松尾真継さん
スープストックトーキョー 代表取締役社長 松尾真継さん
日商岩井(現・双日)やファーストリテイリングを経てスマイルズに入社。スープストックトーキョーの分社化にともない同社社長に就任。好きなメニューは「オマール海老のビスク」

 乳幼児を連れて外食する場合、保護者が離乳食を持参する必要が生じます。レストランに誰かのメニューが用意されていないという事実や、持参した離乳食の温めを店側から断られてしまったエピソードに、私は胸を痛めていました。自分の意思で店を訪れていないお子様から料金を頂戴することにも違和感があり、「気兼ねなくご家族でいらしてほしい」という思いから無料提供をスタートした流れです。

 この取り組みが大変好評だったことを受け、「Soup Stock Tokyoでも実施してみてはどうか」と考えました。まずは一部の店舗で実験的にスタートしたところ、混乱が起きることもなくポジティブな反応が寄せられたため、2023年4月25日からは全店で展開することにしたのです。

店舗スタッフに“公式アイテム”をあげたかった

──郊外を中心に店舗を展開するファミリーレストランと、都市部にも店舗を構えるスープ専門店では、業態が異なるように思えます。取り組みを横展開することに不安や懸念はありませんでしたか。

 当社では「世の中の体温をあげる」という理念を掲げています。スープの提供はあくまで体温を上げる手段の一つであり、Soup Stock Tokyoでスープ市場のシェアナンバーワンを目指しているわけではありません。

 目の前にいる人の心の体温を上げるために、店頭で働くパートナー(アルバイトスタッフ)は日ごろから様々な工夫をしてくれています。たとえば、リクルートスーツを着た就職活動中のお客様に応援の一言を伝えたり、マタニティマークを付けたお客様に白湯を差し出したり。保護者の方が温かいスープを召し上がることができるように、泣き出してしまったお子様のバギーを揺らしながらあやすパートナーもいました。

 これらの対応にマニュアルは一切ありません。理念に共感した各人が進んでアクションを起こしてくれているのです。Soup Stock Tokyoで離乳食の無料提供を開始した背景には、世の中の体温を上げるための“公式アイテム”をパートナーに授けたい思いがありました。

──無料提供の範囲をあえて一部の店舗にとどめず、全店に拡大したのも同じ理由でしょうか。

 企業理念の下、私たちは「Soup for all!」という食のバリアフリーを推進しています。年齢や性別、国籍、制約の有無に関係なく、皆が同じテーブルで食事ができる状態を目指す取り組みです。無料提供の範囲を一部の店舗に限定することで、提供していない店舗まで足を運んでくださったお客様にご移動や諦めを強いたくありませんでした。Soup Stock Tokyoはブランドです。ブランドとは人格であり、約束でもあります。Soup for all!の約束を果たす意味でも、提供範囲を広げました。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/26 19:48 https://markezine.jp/article/detail/42337

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