博報堂買物研究所は、EC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」とともに、Z世代の買物行動・価値観の深堀、ライブコマース、クイックコマースなど次世代コマースの利用動向の把握を目的に「Z世代×ニューコマース調査」を実施した。
今回の調査結果から見えたZ世代特有のコマース行動を両社では「バイヤー型消費」と命名。Z世代のコマース行動には情報収集を積極的に行い、欲しい情報を自ら取りに行く「開拓志向」、良いものを選ぶために国内外問わずにフラットに製品を購入する「越境志向」、自分なりの情報筋を確保しつつ、本当に信用できる情報かを見定める「見極志向」、良いと判断したものは、直感を信じて即決で購入する「即決志向」という特徴が見られ、自らの足で積極的に情報を獲得し、情報の真偽を見極めながらコマース行動が明らかになった。
同調査では、Z世代(15~25歳)をY(ミレニアル)世代(26~41歳)とX世代(42~59歳)と比較。これにより、Z世代特有の4つのコマース行動をより詳しくすること目指した。
調査結果は以下の通り。
Z世代の39%が「トレンドや流行を選ぶ」と回答(開拓志向)
定量調査では、「トレンドや流行りの商品を選ぶ」という項目に対して、あてはまると答えるZ世代は39%となり、Y世代の27%よりも12pt、X世代の16%よりも23pt高い結果になった。他にも「人と被らないブランド・メーカーを選びたい」や「店舗よりもSNSで商品を探した方が人と被らないファッションを探せると感じる」といった項目に対しても、それぞれあてはまると答えるZ世代は、X・Y世代よりも高い結果になった。
さらに、「趣味や好きなことを深く極めたい」に対して、あてはまると答えるZ世代は74%となり、Y世代の64%よりも10pt、X世代の63%よりも11pt高かった。
一方、定性調査の中では「流行っていても自分が好きだと思ったら見えたり買ったりするが、そうでもなかったら別に買わない」、「トレンド品のファッションが被ったら恥ずかしいので、見かけた服は選ばない」や、「自分の趣味である美容系のグッズだったら多少失敗しても全然問題ない。むしろ好奇心が勝つので、試してみたいとなる」、「メルマガで肌知識や美容に関する企業の裏事情を知るために有料のメルマガを購読している」などといった回答が見えられた。
これらのことから、トレンド品といえども安易に飛びつかず、自分の嗜好と照らし合わせて購入をしていることや、自分が本当に極めたい趣味の買物に関しては、多少の失敗はいとわない。また、企業の裏事情なども収集している様子から、好きなものに関してはすべての知識を網羅したいという欲求が存在することがわかった。
「ライブコマース内で扱う商品のことを、事前にどの程度知っていることが多い」かという質問も行ったところ、Z・Y世代ともにユーザーの42%が「新しい商品を見つけるために視聴」と回答。また、Z世代のソーシャルコマース利用理由TOP5は、1位が「お店に行かなくても商品が買えるから」で28%、2位が「欲しいと思う商品が多いから」で24%、3位が「今までまったく知らなかった商品を知れるから」で22%となった。Y世代と比較するとZ世代は、新しい商品との出会いを求めてソーシャルコマースを活用している姿が見て取れる。
Z世代の57%「知らない海外メーカーの商品でも、SNSでの日本人の評価が高ければ購入したい」(越境志向)
定量調査からは大手ECモールだけではなく、海外の新興ECサイトを通じて購買を行うユーザーも一定数見えられた。そのうえで、「自分が知らない海外メーカーの商品でも、SNS上で日本人の評価が高ければ購入したいと思う」と回答したZ世代は57%おり、Y世代の43%よりも14pt、X世代の31%よりも26pt高い結果となった。
一方、「日本のブランド・メーカーを応援したい」という項目に対しては、あてはまると答えるZ世代は53%で、Y世代の61%よりも7pt、X世代の66%よりも13pt低くなった。
このように、Z世代は、日本のブランド・メーカーを応援したいという意識は他世代よりも薄いことがわかる。
定性調査では、「(商品を購入した海外サイトは)商品名や着用モデルが日本人向けではないため、利用のしにくさはあるものの、ちゃんと届くのか・生地が丈夫かなどを身近な人に教えてもらったから安心して買える」といった意見が見えられた。
このように、身近な人のお墨付きがあれば海外サービスを駆使して購入を行うことがわかった。
Z世代の情報収集は個人からが増加して51%(見極志向)
定量調査では、「企業が発信する情報よりも、評価が高い、個人SNSの情報を参考にして買うことが多い」の項目にあてはまると回答したZ世代は51%となった。これは、Y世代の35%よりも16pt高く、X世代の23%よりも18pt高い結果となった。
このように、企業のアカウントよりも「個人のアカウント」からの情報収集行動が増加していることがわかる。
他にも「製造プロセスや情報を公開している(透明性のある)ブランド・商品を選びたいと思う」にあてはまると回答したZ世代は43%となり、Y世代の38%よりも5pt高く、X世代の39%よりも4pt高い結果となった。
一方、定性調査では「インフルエンサーのアカウントはその投稿に対して色々な人がコメントしており、ファッションの組み合わせ方など参考になるコメントを見えることができる」という回答があり、自分が好きなインフルエンサーをフォローしている個人のコメントを参考に買物を行う姿も見えられた。
他にも「自分の好みではないアカウントをフォローすると、アルゴリズムが崩れてしまい、タイムラインの最適化が崩れる」「公式アカウントを見えるのはCP時のみ」などという回答が見えられた。安易にSNS上で企業アカウントをフォローせず、信頼する情報だけ取得できるように自身のSNSアカウントを調整していることがわかる。
Z世代は本当に欲しいものに対しては衝動買いをする傾向に(即決志向)
定量調査では、「衝動買いをよくする」と答えたZ世代は37%で、Y世代の30%よりも7pt高く、X世代の19%よりも18pt高い結果となった。
また、クイックコマースユーザーに対して、利用理由を聞いたところ、「自由に使える時間が増えたから」とZ世代の20%が回答。これは、Y・X世代の15%よりもそれぞれ5pt高い結果だった。
定性調査では、「欲しいと思った商品は、スマートフォンでスクリーンショットをしてたまに保存するが、欲しいと思ったこと自体を忘れてしまうときがある。なるべくそうならないように早めに買うようにしている」などと回答。本当に欲しいものは衝動的に購入していることがわかった。
さらに、Z世代のクイックコマースユーザーに利用理由を自由回答で聞いたところ、「大事な時間を確保したいとき」、「欲しいものをすぐに手に入れたいとき」という利用理由がY・Z世代では見えられない特徴で、時間の使い方への意識が高いZ世代ならではのクイックコマースの使い方が見て取れる。
【定量調査概要】
対象:15~59歳 男女 かつ直近1年以内EC利用者
地域:日本全国
手法:インターネットリサーチ
時期:2023年1月
有効回答数:3,843サンプル
委託先: H.M.マーケティングリサーチ
集計方法:スクリーニング調査を人口動態に合わせて性別×年齢(6区分)で割り付けて回収のうえ、一般サンプルについては、スクリーニング調査での調査対象者の出現構成に合わせる形でウエイトバック集計を実施。ブーストサンプルについても、各ユーザー内の性別×年代(Z/Y/Xの3区分)を、スクリーニング調査での対象者の出現構成に合わせる形でウエイトバック集計を実施。
【定性調査概要】
対象:Z世代(15~25歳)の男女
地域:日本全国
手法:オンラインデプスインタビュー
時期:2023年2月
対象者数:5サンプル
委託先:H.M.マーケティングリサーチ
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