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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

再発掘される「店舗」の価値 次世代ビジネスモデルを追う

体験価値の“統一感”で新規顧客創出 「銀座・和光」が仕掛ける店舗とデジタルを横断したリブランディング


マニュアルに頼らない接遇 歴史が生み出す「人」の力

大里:店舗体験の提供に軸足を置かれる中で、和光独自の強みはどこにあると捉えられていますか。

米原:「人」の力だと考えています。和光では、腕時計をはじめ、宝飾品、紳士・婦人用品、室内装飾品など、お客様の声を実際に取り入れて、開発あるいは国内外から仕入れた高い品質の商品を用意しています。

 このような独自の商品力を実現できるのは、和光で働く「人」のおかげです。その上で、店頭スタッフが、お客様へ商品の魅力を真摯に伝えることが、和光のブランド価値をより高めることにつながっています。

大里:高品質の商品を扱う和光では、お客様の来店する目的が一人ひとりで異なるだけでなく、接遇に求めるレベルも高いと予想します。その状況においても、高いレベルの接遇を提供できる「人」の力はどのように養っていますか?

米原:和光では、お客様一人ひとりの想いやご要望にきちんと応える接遇を徹底するため、あえてマニュアルに頼らない接遇を心がけています。

画像を説明するテキストなくても可

米原:和光には前身となる「服部時計店」から数えると140年以上の歴史があり、その歴史によって築き上げられた世界観があります。これらが、人から人へとしっかりと受け継がれることで、和光の「人」は醸成されています

セイコーグループならではの強み 時計塔を使用した店舗体験

大里:マニュアルがないと接遇の質にムラが生まれてしまうという考えもあると思います。和光でマニュアルがなくても質を保てる要因を教えてください。

米原:前述したスタッフの人間力、そして先輩たちが受け継いできたおもてなしの精神に加えて、銀座の中心に位置した歴史ある建物という「空間」の力も大きいと思います。

 時計塔は、銀座のシンボルとして多くの人から親しまれており、ブランディングの観点では、シンボルとして持つ価値を活かすことが非常に重視されています。シンボリックな空間で働くスタッフ達は、自ずと気が引き締まり、モチベーションが高まるんです

大里:和光本店の建物の持つ歴史と立地というアセットは従業員に対して大きな効果を与えているんですね。他にも、この建物だからこその店舗体験はあるのでしょうか?

米原:和光ブライダルブティックギンザで婚約・結婚指輪をご購入いただくと、屋上にあがり、時計塔の前で記念撮影が可能になります。このサービスは大変好評で、記念撮影を理由に和光で指輪を購入される方も多くいらっしゃるほどです。

 他にも、親会社のセイコーグループが主催となって、子ども向けの日時計教室を屋上で開催しています。「和光本館」は、2022年6月に名称を「セイコーハウス銀座」に変更し、セイコーブランドの発信拠点としての役割も担うようになりました。それによりグループシナジーが生まれ、セイコーグループならではの体験もお客様に楽しんでいただけるようになりました。

 2022年12月にはセイコーハウス銀座の7Fに時計工房「アトリエ銀座」をオープンしています。そこでは、グランドセイコーの愛好者向けのイベント開催や、時計職人の製作過程を見学できる体験の場を提供しています。

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この記事の著者

大里 紀雄(オオサト ノリオ)

Micoworks株式会社 ビジネスマーケティング部 Director 

大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。マルケトではシニアビジネスコンサルタントとして業種業界を問わず、大手企業から中小企業まで、MAツールの導入や戦略構築支援を行う...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/05 13:44 https://markezine.jp/article/detail/42372

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