オウンドメディアを起点に効果測定・ターゲティングを強化
大里:お話を伺っていると、御社の戦略では和光ならではの価値をデジタルとリアルを融合して伝えることに注力されているように感じます。デジタルを含めたマーケティング戦略を志すようになったきっかけを教えてください。
米原:従来は、1972年から続く紙の情報誌『チャイム銀座』で情報発信を行ってきました。しかし、2020年頃から、新たな年齢層のお客様にアプローチをするためにもWebマガジンへの切り替えを検討していきました。当時は、紙媒体を休止することによるお客様離れを懸念する声も社内から多くありました。ですが、コロナ禍をきっかけにして、Webマガジン「WAKO INDEX」の刊行が決まりました。
大里:コロナ禍が一つのきっかけになったんですね。こうしたデジタルチャネルを活用した結果、どのような手応えを感じられていますか?
米原:当社の主力層である60~70代のお客様だけでなく、最近は40~50代のお客様にも利用いただけるようになりました。2020年度では40~50代のお客様が前年度比で約10%増加するなど、成果を実感しています。
そもそも従来は紙媒体中心に販促活動を行ってきたため、配信効果の測定は困難でした。しかし、Webマガジンやメールマガジンに移行したことで開封率やCTRなど、効果を定量的に測定可能になりました。加えて、SNS広告などのプロモーションも行っているため、より多くの新しいお客様に和光やそのアイテムを知っていただく機会が増えたのも大きな変化です。
細かくセグメント設定を行うことで、上質志向で本物志向、さらには長く愛せるアイテムを求める方々に対して新たなアプローチを行うことができています。
SNSを掛け合わせた和光の新たなプロモーション
大里:和光ならではのおもてなしや質の高い接遇を、デジタル上でも店舗と変わらず表現するためにどのような設計にしていますか。
米原:デジタルにおいても、店舗で直接目にする時に感じられる商品の良さを変わらず表現することを意識しています。「WAKO INDEX」では、一流のクリエイターと組むことで、商品をより魅力的に伝えるWebページを作っています。実店舗でもオンラインでも印象が変わらないよう、統一感を持たせることを大事にしています。
大里:実店舗、オンラインの双方で、ブランドイメージを担保できるように設計しているんですね。では、SNSを活用したプロモーションはいかがでしょうか?
米原:InstagramやFacebookを通じたSNS広告に出稿を行っています。「WAKO INDEX」内にある各広告の遷移先LPでも先述のページ同様に洗練されたビジュアルを意識して展開しており、そうした設計の結果からか高価格帯のアイテムとしては非常に高いCTRとなっています。

また、幅広く認知を広げる新聞広告と、お客様にピンポイントで届けるSNS広告の掛け合わせの相性が良く、取り組む前後でブランド認知も広がっていると考えられます。これもオンラインとオフラインの融合に注力しなければ達成できなかったことだと考えています。
大里:和光の世界観を次世代につないでいくため、新たな取り組みを数多く進めていらっしゃることを実感しました。最後に今後の展望をお聞かせください。
米原:和光は確かな審美眼のもとに、エクスクルーシブ品と国内外の高品質な品をリサーチし、セレクトしたアイテムを揃えるスペシャリティストアです。この価値を知るきっかけを作り、より深く伝えることで、どのお客様にとっても唯一無二のブランドであることを目指していきたいと思っています。
また、和光は日本の企業として日本文化や匠の技を伝え、届けることも大切にしており、商品・サービスから、誰もが「和光らしさ」を感じてもらえるブランドに成長していきたいです。
今後も、70年以上の伝統を守りながら新しいことにチャレンジし、銀座の街とともに時代の変化に合わせて歩み続けたいと考えています。
