制作は外注しても分析は依存しない
――レポート業務の自動化において、注意すべき点があれば教えてください。
梅澤:仮に外部のパートナーにレポーティング業務を外注していたとしましょう。この場合に散見されるのが、発注側がパートナーに「分析」も依存してしまっている状態です。パートナーにレポートの「作成」は依頼しても、分析まで依存すべきではありません。

梅澤:パートナーから提供されるレポートの内容を自分たちなりに噛み砕き、仮説を立てる。そのスキルを養うことで、パートナーとの議論により深みが増し、結果的に提供されるレポートの精度も上がってくると思います。レポートから価値を見出す訓練は発注側の企業においても必要でしょう。
飯島:梅澤さんのおっしゃる通りですね。ただレポートの結果を眺めるだけではなく、ダッシュボードの活用法にも一工夫ができます。最近のダッシュボードでは、たとえば特定のセグメントに焦点を当ててKPIを算出することもできるそうです。ダッシュボードをうまく活用しながら、自分たちでもデータ分析ができる状態にしておくことをお勧めします。
レポートの見せ方にも工夫を
――次に「2.ビジュアライズを工夫し、アクショナブルなレポートを作成すべし」について伺います。レポートをビジュアライズする上でのポイントを教えてください。
橋本:以前のマーケティングレポートといえば、何十枚にもわたる紙の資料を毎週のように配布するイメージでしたが、業務効率化およびアクションスピードの観点から、今では1ページで必要な情報が揃っているレポートが良いとされています。
レポートを開いた数秒後には、喫緊のマーケティング課題を即座に理解できる状態が理想です。全体を俯瞰するためにも網羅性は重要ですが、ただKPIを表で並べるだけではなく、その数字が良いのか悪いのかを色で区別し、トレンドグラフを作成しましょう。

橋本:誰が見ても「施策が成功しているのか否か」「いつ成果が出ていたのか」「いつ成果が振るわなかったのか」がわかり、問題点を指摘可能な状態にすることがビジュアライズの目標です。さらに「今回の施策は思うように成果が得られなかったが、次回はどのような手法を用いるべきか」といった提案もレポートに含めましょう。
梅澤:成果だけでなく、施策の内容に関する端的な説明文も盛り込んでおくと良いですね。施策の「背景」「サマリー」そしてどの部署の人が読んでも理解できるように、マーケティング用語などは注釈を入れておくと親切です。そして、プロジェクトの目標に対する現状の進捗状況を読み手が理解できるようにすることが大切です。
――ありがとうございました。今回は「1.データ集計・レポーティングの業務を自動化すべし」「2.ビジュアライズを工夫し、アクショナブルなレポートを作成すべし」について解説いただきました。第2回では「3.業務上、不必要なKPIは削ぎ落とすべし」から説明いただきます。