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【特集】明快な方程式がなくなった、メディアプランニングの今

これまでと対極の価値訴求で若年層と女性を取り込んだ「丸亀シェイクうどん」のメディア戦略

過去最高を記録、CM好感度1位も初獲得

 ――プロの手で絶対的なおいしさを視覚的に作り出す手法から、商品を楽しむ生活者の姿を伝える方法へシフトしたのですね。結果としてはいかがですか?

 今までにないとても大きな反響をいただきましたし、数字も非常に良い結果が出ています。メディアへの露出は過去最高で、売上の伸びも新商品による上積み効果という点では過去最高を記録しました。また、2023年5月度のCM好感度ランキングで丸亀製麺が初めて総合1位を獲得しました。調査によると、CM好感要因の「商品にひかれた」で大きくポイントが伸びたそうです※。

 ※CM総合研究所「丸亀製麺が初のCM好感度総合1位に(2023年5月度 銘柄別CM好感度トップ10)」https://www.cmdb.jp/cmindexweb/cmlikability_202305_20230602/より

株式会社トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長 兼 株式会社丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長 南雲克明氏
株式会社トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長 兼 株式会社丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長 南雲克明氏

 実は今回、キャスティングの方向も思いっきり変えています。これまでは株式会社TOKIOの皆さんや上戸彩さんという、既に誰もが知っている方々にお願いをしてきました。一方で丸亀シェイクうどんでは、今注目の映画やドラマで活躍中の女優である原菜乃華さんや、SNSで人気のダンスグループパワーパフボーイズさんという、フレッシュで若年層に人気がある方々を起用しました。ただ、中高年の方々が距離を感じてしまうのも避けたかったので、楽曲は米米CLUBさんの「Shake Hip!」をリバイバルしたものを使用しています。「なんか懐かしいな」「これは私が買ってもいい商品なんだ」と思っていただくことを狙っています。そして、若い方に人気でインパクト抜群の個性的な“NEOかわいい”ガールズバンド、マナ・カナ(CHAI)にカバーしてもらいました。懐かしさと新しさがうまく融合したのではないでしょうか。

全リソースを投入、サンプリングでリアル体験とSNSをつなぐ

 ――今回のキャンペーンはアプローチ方法がまったく異なりますが、メディアの予算配分はどのように判断されたのでしょうか?

 初動を最も高くするために、いつから・どこに・どのぐらい投資をするのかを軸に判断をしています。たとえば、肉うどんという商品で初日の売上目標を達成するためには、1週間前からどのくらいの露出を取る必要があるか、ある程度逆算する仕組みもできています。普段は、その数字をベースに各メディアに予算を振り分けていきます。ですが、今回は若い方たち新しい人たちにも届けるため、考えられるチャネルと施策ごとに目標ROIを達成できる可能な限りのリソースを投入しました。

 サンプリングも当初の計画の約10倍に増やして、メディアの誘致も今まで最高で役70ほどでしたが、過去最高を目指して様々なジャンルのメディアにお声を掛けました。マーケティングだけでなく、営業本部・商品開発部・SCM本部・食品安全管理本部など丸亀製麺が一丸となって推し進めたプロジェクトです。

 ――社運をかけた取り組みだったのですね。戦略から実行までぶれずに行い、結果を出せた秘訣はどこにあるのでしょうか?

 丸亀製麺社長の山口とマーケティング責任者の私が常にコミュニケーションを取り、やりきるという合意形成が取れていた点が1つ大きいと思います。だから、中途半端にならず振り切ることができました。その上で代理店の方々も含め、若手や女性のアイデアを尊重しました。先ほど話したパワーパフボーイズさんの起用やTikTokの活用も、ターゲットに近いメンバーから出てきたものです。やはり、価値観が近いからこそ立てられる企画があります。

 また、成功の秘訣という点ではリアルで実施したサンプリングが良かったと思っています。今回は新しい価値を伝えることが目的でしたが、作り置きはせず、製麺所の打ち立てのうどんを食べていただくという価値は外していません。渋谷で約1万食のサンプリングを行った際も近隣10店舗を休業し、店舗で作ったものを新鮮な状態を保ったままサンプリング会場までピストン輸送をし続けました。おかげで本当においしい状態を味わっていただけましたし、それがSNSともうまくつながり良い効果が出たと考えています。

サンプリングは5月9日に渋谷で、11日に梅田で開催された
サンプリングは5月9日に渋谷で、11日に梅田で開催された

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マーケティング部門で完結させない

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伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2023/07/07 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42610

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