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【特集】明快な方程式がなくなった、メディアプランニングの今

これまでと対極の価値訴求で若年層と女性を取り込んだ「丸亀シェイクうどん」のメディア戦略

 カップに入ったできたてのうどんを振って食べる。丸亀製麺が2023年5月に販売を開始したテイクアウト専用商品「丸亀シェイクうどん」。売上やメディア露出など様々な面で社内の過去最高記録を達成した。成功の背景には、従来のメディア戦略の勝ちパターンを捨て、これまでにない取り組みを全社一丸となって実施した点があるという。詳細を丸亀製麺マーケティング本部長の南雲克明氏に聞いた。

これまでと対極の価値を提供する新商品

 ――まずは、丸亀シェイクうどんについて教えてください。

 丸亀製麺のブランドの特徴は讃岐うどん専門店としての本格感や、手づくり・できたてのもちもち食感。製麺所ならではのライブ感と、職人が粉からうどんを打つうどんそのもののおいしさが体験価値です。ある意味で対極にある、楽しさ、ワクワク感といったこれまでにない価値提供を狙った商品が丸亀シェイクうどんです。商品リリースのタイミングも5月9日とコロナが5類に移行する時期に合わせることで、外食の価値を改めて感じていただけるようにしています。

 商品としては、スタイルフリーである点も特長です。片手で持って食べられるし、車のペットボトルホルダーにも入るように設計されています。実は、元々は6月に開始したドライブスルー型店舗向けに開発を進めていた商品なのですが、それだけではもったいないと感じて、あらゆる場所で食べていただける、新しい価値を提供するテイクアウト専門のうどんとしてブラッシュアップしました。

シズル感から楽しんでいる姿へ変更

 ――従来のイメージと異なる打ち出しをするとなると、メディア戦略やコミュニケーションも変わったのでしょうか?

 そうですね。これまで丸亀製麺の戦略は一貫していて、3つのポイントを押さえるようにしています。まずは商品のおいしさを伝えること。うどんのもちもち感や、具材(食材)のおいしさ、そして商品としてトータルのおいしさ を圧倒的なシズルで表現しています。見た瞬間に、おいしそう・食べたいと思ってもらう。2つ目は、事前の予告期間の露出を増やして、発売開始の売上つまり初動の高さを最大限にすること。やはり、新商品の売上は徐々に下がります。そのための初動をいかがに高くできるかというメディア戦略が重要です。そして、3つ目に、あらゆるメディアで発信するメッセージを統一することです。

2022年3月に展開した「春は何度も行かなくちゃ!焼きたて肉うどん&山盛りあさりうどん」篇のクリエイティブ
2022年3月に展開した「春は何度も行かなくちゃ!焼きたて肉うどん&山盛りあさりうどん」篇のクリエイティブ

 どこを見ても、同じビジュアル、メッセージで丸亀製麺の商品が目に映る。それが丸亀製麺の定番であり、勝ちパターンでもありました。しかし、今回は持っている知見は活かしつつ、従来のやり方からガラッと手法を変えています。

 まず、メインでメッセージを伝える相手は、これまで丸亀製麺を意識されなかった若年層と女性に設定しています。そのため、予算配分もYouTubeやSNSなどデジタルへの投資を強化しました。たとえば、これまでTikTokへの出稿はほとんど行っていませんでしたが、親和性を考慮して活用しています。さらにTVCMも展開するキービジュアルもトーン&マナーから変えるために、これまでと同じ代理店・制作会社でも得意分野が異なるクリエイティブディレクターやアートディレクターの方に入っていただきました。

 そして、大きな違いとしてリアル施策の強化が挙げられます。5月9日のリリースに合わせて、渋谷の109とマークシティ、大阪の梅田で大型のサンプリング企画を実施しました。ハーフサイズのサンプルを約1万食お配りしたんです。実際に食べていただき、その様子や感想をUGCとしてSNSに上げてもらったり、TVやWeb媒体のニュースなどのメディアを通して拡げたりしました。

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過去最高を記録、CM好感度1位も初獲得

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/07 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42610

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