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6時間で7000万円超えの売上!リアリティー×エンタメを組み合わせた新たなインフルエンサーマーケの形

 美容系インフルエンサーの2人目のエガチャン(以下、エガチャン)による、台本なしで企業に突撃するPR動画が再生数・売り上げともに大きな成果を上げている。従来のインフルエンサーマーケティングとは何が違うのだろうか。本記事では、マーケティング支援を行うWackerの鹿田氏、VT Cosmetics(以下、VT)のチョ氏、エガチャンに話を伺った。

企業、インフルエンサー、視聴者。三方良しのPR動画に挑む

──皆様の担っている業務やミッションについてお聞かせください。

チョ:VTは、CICA(ツボクサ由来の肌荒れを抑制する成分)をメインにした商品を販売し、様々な美容媒体でベストコスメを受賞している韓国スキンケアブランドです。ユーザー様は、肌に悩みを持つ10代から50代以上の方まで、男女問わず幅広い層の方にご愛用頂いています。

鹿田:Wackerは広告代理店ではなく、化粧品企業様を中心に事業開発の役割を含めてご支援を行っている企業です。そのため、年間でご予算をいただき、マーケティングの戦略・戦術の構築・実践、組織づくりまで一気通貫で手がけているところが特徴です。

エガチャン:2020年4月から本格的に美容情報の発信を始めました。小6の頃から肌荒れやニキビで悩んでスキンケアをしていたので、同じような悩みを持つ方の参考になればと思ったのが始まりです。僕は、正直ベースでレビューすることをテーマに配信し、現在はTikTok約74万人、YouTube約67万人、Instagram約12万人と、総SNSフォロワー150万人となっています。

──VTと一緒にキャンペーンを始めた経緯についてお聞かせください。

鹿田:Wacker×エガチャンとのPR動画では、企業に突撃する「エガ凸」や割引価格で限定販売する「エガ割」といった企画を展開しています。一般的に案件では企業から依頼されることが多いと思いますが、僕らの場合はエガチャンが一緒にやりたいと思う企業にこちらからお声がけしています。

エガチャン:PR動画は、企業とインフルエンサー側にしかメリットがないと思うことが多いですよね。でも僕は、視聴者が見ておもしろいとか、お得に買えるとか、そういうメリットを提供し、全員Win-Win-Winになることを意識し動画を作っています。

インフルエンサー主導での協業

──エガチャンは、これまでVTの商品を「リピなし」と紹介していましたが、今回なぜお声がけしたのでしょうか。

エガチャン:僕はブランドではなく、商品単位でいろいろな化粧品を試してジャッジしています。そんな中最近、VTのアイテムの中に、いいなと思うものがいくつかありまして。加えて「リピなし」と何回も言った、因縁のブランドの商品が、リピありになる瞬間の反響は大きいだろうと考えました。

2人目のエガチャン氏
2人目のエガチャン氏

チョ:エガチャンは、VTのCICAデイリースージングマスクを「リピなし」と動画で話されていたのですが、スーパーヒアルロンやCICAエマルジョンに関しては褒めてくださり、弊社ではすでに有名でした。

 実はWacker×エガチャンが、これまで他の化粧品ブランドと成功した事例を見ていまして、VTでもぜひご一緒したいという要望は以前からありました。なので、Wackerから連絡をいただけたのは大変うれしかったです。実施は即決しました。

リアリティー×エンタメで視聴者がワクワクするPR動画に

──WackerからVTへ、どのような提案を行ったのでしょうか。

鹿田:VTは、韓国スキンケア分野ではトップシェアのブランドなので、オンライン・オフライン共に様々な広告をやっていらっしゃる印象がありました。しかし、これまで「リピなし」を正直に発信してきたエガちゃんの抱えるファン層やTikTokを中心とした層には、VTブランドをさらに浸透させる余地があると考え、エガチャンと僕らでやってきた、過去の事例・成果を合わせご提案していった形です。

チョ:スキンケアは人によって効果の感じ方も異なるため、実際に手に取っていただくことが大事だと思っています。

 そのためエガ凸で重視したのは、より多くの方にお得な値段でご提供し、試してもらうことでした。エガチャンの視聴者はスキンケアに対する関心が高く、様々なスキンケアを試すチャレンジ精神もあるので、VTのターゲットにピッタリだと思いました。

──どのようにプロモーションを構築し、進めていきましたか。

鹿田:視聴者の方に喜んで見ていただくために、リアリティー×エンタメを担保することがプロモーションにおいて重要だと考えています。そのためエガチャンとの企画では台本を一切用意しません。

 加えて、広告で嘘をつきたくないというのも大きいです。視聴者の方が、ワクワクしたり楽しんだりするエンタメの中で商品を知り、使ってみたいと思わせるような企画とストーリーづくりを心がけエガチャンとPR動画を制作しております。

株式会社Wacker COO 鹿田将斗氏
株式会社Wacker COO 鹿田将斗氏

鹿田:今回のVTとの企画では、2本の動画を展開しました。第一弾は “因縁の関係”というイメージを活用し、韓国本社に突撃し「他社製品パクってない?」などリアルに突っ込んでいく、ハラハラする動画企画です。これは視聴者へリアルなハラハラ感の中でVTがこだわって商品を作っていることを伝え、視聴者が抱えるリアルな企業への誤解を解くのが狙いです。

 第二弾は代表の方への値引き交渉や、商品在庫を用意するためにその場で工場に生産の電話をしてもらうなど生々しい交渉や企業努力を動画で見てもらい、購買につなげる仕立てにしました。

PR動画より

チョ:本当に台本がない状態での交渉のため、エガチャンがいくらで販売を希望しているのか全く知らなかったですし、撮影中はハラハラしていました。想定以上の割引率での交渉だったので代表が大変驚き、私も思わず通訳が急にタメ口になってしまうほどでした。それでもエガチャンの説得力で、気付いたら彼の希望に沿った値段と数量で実施していました。

企業のリアルな姿はマイナスにならない

──PR動画を作る上でのこだわりを教えてください。

エガチャン:PRなのにPRではないような動画を作ることが一番こだわっている点です。そのため、企業の方がリアルな反応しているところを動画に入れるようにしています。

鹿田:「PRだと再生数が回らない」とか、視聴者も「PRなら動画は見ない」と言う人もいますが、VTさんにエガ凸したTikTokの動画はPR動画なのに220万再生を超え、エガちゃんの通常動画よりも再生数が多いんですよ。まさに既存の広告の概念を壊せている証拠だと思います。

──企業としては、台本なしでリアルな姿を撮影されることに不安はありませんか。

チョ:私たちはエガチャンの動画を以前から見ていたので、特に心配はなかったです。Wacker×エガチャンの動画制作に関する直感を信じていました。

株式会社VT Cosmetics 主任 チョ・スビン氏
株式会社VT Cosmetics 主任 チョ・スビン氏

鹿田:企業の方には、台本なしでやるべき理由、台本なしでうまくいくことの二つをしっかり説明するようにしています。

 台本なしの必要性は、消費者のために嘘をつかないというエガチャンのスタイルを守るためでもありますし、リアリティーは視聴者が感情移入しやすくワクワクするからです。結果として今まで手掛けてきた企画は、設定した期間よりずっと早く完売し、1億円を超える売上につながっているものが多く、消費者が商品だけでなくエンタメを通して得られた「体験」にお金を出したいと思うためです。

エガチャン:自社の商品に自信があれば、リアルなところを見せるのがマイナスになることはないと思っています。

 そもそもテレビCMと動画を用いたSNSマーケティングって性質が違うんですよね。ブランディングを大切にしたテレビCMをやる大切さもわかるのですが、そのCMをおもしろい、もう一度見たいとはなりづらい。

 しかしSNSマーケティングでは、おもしろいと思われて初めて再生数が伸びるものなので、そこは分けて考えていくべきものだと思っています。

鹿田:企業がマイナスに思うことと、生活者がマイナスに思うことって意外と違うと思っています。ちょっと良くない部分が見えるから共感できる、応援できることもありますよね。広告ってきれいな面しか見せないことが多いので、うさんくさくなりやすいんですよね。そこを変えて行きたいです。

開始6時間で完売し、7,000万円の売上をたたき出す

──キャンペーンの成果はいかがでしたか。

チョ:3日間限定の企画として、美容液単品と、エガチャンのリピあり商品7点セットを各1万個用意しました。

 単品は90分、セットは6時間で完売し、そのスピードに弊社のメンバー全員が驚きました。販売したQoo10のレビューやSNSでも、嬉しいコメントをたくさんいただけました。動画のコメント欄には、VTに好意的なイメージを持つようになったと代表や私に対するお褒めの言葉もいっぱいで、ブランディングの面でもいい効果を得られたと思います。

鹿田:VTさんでは総額7,000万円以上の売上になりました。販売したQoo10のランキングでも1位となり、TikTokの再生数は220万回を超えています。また、コメント欄を見るとフォロワーさんの評価が非常に高かったです。普通はPR動画って楽しみにされないですが、次のPR動画を期待する声が多くあります(笑)

広告は、企業と生活者をつなげる出会いの手段

──驚異的な成果を出すための、勝ち筋を教えてください。

鹿田:従来の広告って、不安や悩みをあおったり、普通の化粧水でも、まるで魔法の化粧水のように見せたりしてきました。それって広告として良くないと思うんですよ。

 僕の中の広告の定義は、企業と生活者をつなげる出会いの手段だと思っていて。嘘がなくて楽しめる広告をどうやって作るかにあります。そのためには、企業さん含む全員の目線を、視聴者を喜ばせるというところに合わせなくてはなりません。その一つの解決策としてリアリティー×エンタメを軸に企画を作っていくことが挙げられるのではと考えています。

──最後に、今後の展望についてお聞かせください。

チョ:エガチャンにも動画で「本気を出し始めたVT」と言っていただけましたが、VTはより多くの方の肌の悩みを解決できるスキンケアを作り、それらを手頃なお値段でお届けしたいと思っています。

 またエガチャンとは、まだ因縁の関係から仲直りはしておらず、示談という状態ですので(笑)、だんだんと仲直りできればと思っています。

エガチャン:今のスタイルを変えず、もっと規模を大きくしていきたいです。売れる商品数もそうですし、複数の企業との企画というのもやってみたいです。

鹿田:Wackerとしては、今は企業にマーケティング面でのご支援を行っていますが、今後は大手OEM/ODM会社との業務提携が決まっており、商品の製造から販売まで一気通貫で手がけることができるようになるため、本質的なところからご支援していければと思っています。

【問い合わせ先】
鹿田将斗
info@wacker-inc.co.jp

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Wacker

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/28 10:00 https://markezine.jp/article/detail/42694