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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

UGCは本当にビジネスに貢献するのか?【UGCを4タイプに分類】

体験ストーリー型UGC:愛用者の深い体験による「知恵」が重要

 3つ目は体験ストーリー型UGCです。商品利用の実体験を基にしたUGCなのでレビュー型UGCと似ているのですが、こちらは商品を継続的に利用してくれている愛用者によるストーリー性のある体験談を指します。

 レビュー型UGCが商品を主役にした投稿だとすると、体験ストーリー型UGCは商品を使った自分を主役にしたUGCです。たとえば、「毎日このような習慣で使っています」「この食材を使ったおすすめのレシピ」「相性の良いグッズの紹介」などが体験ストーリー型UGCに当たります。

 お客様は商品そのものだけでなく、最終的には商品を使った自分(の体験)に興味があります。商品を利用している段階のお客様にとって、その体験価値を上げるのに、同じ商品を使う他の人の体験ストーリー(知恵)が一役買うのです。

 しかし愛用者としては、ディープな体験談は共感する人が少ないと考え、オープンなSNS空間には情報を出しづらいこともあります。そのため、活発化しやすいのが特定商品のファンコミュニティです。こういった空間があると同じ商品を使い続ける人同士の有益な情報交換が活発化します。

 そのため、企業側が主導してファンコミュニティを開設し盛り上げていけると深い情報が飛び交う場に発展していく可能性があります。ファンコミュニティが上手く機能するとお客様の体験価値が向上し、リピーター化やLTV(生涯顧客価値)向上につながっていきます。

 ただし、自社の商材とファンコミュニティの相性もあるはずです。まずは愛用者がどのような体験ストーリーや熱量を持っているかを知ることから始め、コミュニティが成功させられるかどうかを判断すると良いでしょう。

インサイト型UGC:少数派でも想定外の「発見」を活かす

 最後はインサイト型UGC。これは新規のお客様に対して直接的に影響するものではなく、少数でも企業として想定外の声があった際に、参考になる「発見」が得られるという類のUGCです。

 たとえば、「(商品の主な想定用途とは異なり)こんなときにも重宝しています」や「(商品の主な想定ターゲットとは異なり)妊婦なのでプロ仕様の高機能に助けられています」といった想定外のニーズ(チャンス)、「この商品はなくさないで欲しい」「もっとカラーバリエーションを増やして欲しい」といった要望の声も含まれます。

 こういった声を見つけられた場合、それが想定外のニーズや見落としていた要望であっても、商品やサービス提供方法、お客様対応の見直しにつなげれば企業としての提供価値をアップさせることができるはずです。

 ただし、直接カスタマーセンターや公式アカウントにアプローチしてくれる場合は把握できますが、こういった少数の声を膨大なUGCの中から見つけ出すのはそう簡単ではありません。普段から注意深く自社商品に関するUGCを観察して見つけたり、ファンコミュニティを通じてコアなお客様から引き出したりする必要があります。いずれにせよ継続的にお客様の声を傾聴する姿勢が求められます。

まとめ:取り巻くUGCを起点にした3ステップアプローチ

 ここまでにご紹介したUGCの4タイプの解説をまとめたのが以下の図になります。

 そしてこれらのUGCに対して企業が取り組みを行う際におすすめなのが、「知る」「見極める」「活かす」の3ステップのアプローチです。

 いくらUGCがマーケティング効果を高めビジネス貢献するからといっても、UGCを発信するのはお客様であり、企業が都合よく狙って生み出すことは難しいでしょう。ですが、UGCが生まれやすい状況を作る努力をしたり、すでにあるUGCを参考にして活用させてもらったりすることはできます。

 そのため、まずは自社商品を取り巻くUGCを「知る」ことから始めます。このとき、データ量は多くなりますが自社商品に限らず、競合商品や商材カテゴリー全体を対象にするとより多くの情報が得られます。そしてタイプごとのUGCを個別に紐解き、どのようなチャンスがあるのか、どのような点で改善ができるのか「見極める」。そして最後に実際に企業として能動的にアクションできることに還元し、マーケティングに「活かす」のです。

 もし、予算や組織体制の問題でしっかりとしたデータ分析が難しい場合、すべてのデータを網羅できなくても構いません。最も簡単に始められるのは、自社の商品名をSNSで検索してどのタイプのUGCが発生しているかを調べること。そこから、どのような企業努力が必要か想像してみるだけでも、十分な発見が得られるはずです。

 本記事が、UGCを通してお客様の声に耳を傾け、お客様から愛される企業・商品につなげるアイデアを発見するヒントになれば幸いです。

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2023/08/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42957

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