「膨張」ではなく「成長」 資さんうどんの拡大戦略
そんな同社は近年、同じ地方である九州各県や山口県に対して積極的に店舗を拡大。本社がある北九州市が中心だった「北九州の資さん」から「九州の資さん」へと成長をしてきている。さらに2023年8月には岡山県に出店。同年6月には年内に関西エリアへの初出店する予定を発表した。
これらの新規出店にともない、岡山では、8月に先立ち地域住民に資さんの味を食べてもらうテストマーケティングイベントを開催し、1,600人の顧客との接点を持った。加えて、関西でも専用SNSアカウント「やっぱ資やねん」の立ち上げも行い、住民に直接アプローチをし、潜在的な常連顧客の土台を作るために力を入れている。

「九州の資さん」から「日本の資さんになること」を目標に掲げる佐藤氏。他地域への進出が単なる「膨張」ではなく、真に「成長」をしていくために、他地域においても顧客との交流を進め、店舗での体験価値も重視する姿勢は変わらないと語った。
グッデイが行うDX戦略 顧客データを集めて活かした店舗運営
次に登壇したのは、2022年に日本DX大賞を受賞し、グループウェアやBIツールを駆使することで成長をしてきたホームセンターのグッデイを運営する嘉穂無線ホールディングスで代表取締役を務める柳瀬隆志氏。柳瀬氏は、2016年に社長のポジションを引き継いで以降、自らデジタルツールを使いこなし、従業員へのデジタル普及も推進してきた。

従来アナログが主流であった社内のDXに取り組んだ同社は、顧客接点および分析にもデジタルツールを取り入れている。具体的には、2022年春に行ったLINE会員プログラムの導入が挙げられる。アプリを通じてお得な情報の提供やクーポンの配布。従業員の呼びかけの力もあり、導入後会員数は毎月5,000~1万人のペースで増加し、2023年7月現在は38万人を超えている。
さらに、同社は会員の38万人を含む、購入時のレジで集めたデータを使って、クラスタリング分析を実施。一人の顧客が、購入した商品や買い合わせの商品カテゴリー、次の来店でも同じ行動をとるのかといった顧客データの分析を行っている。

さらに柳瀬氏は、分析した顧客データのChatGPT活用によるレポート化にも取り組んでいる。顧客興味領域ごとの分析内容からは、特定商品カテゴリーのみを購入する人、複数カテゴリーを購入される人など、顧客の興味軸の特徴がうかがえる。