人は選ぶがとことん愛されるタイトルをつくる
佐藤:モンストはマスでありながらニッチ、つまりコミュニティも重要視されている印象です。IPとコラボする際も、IPのファンコミュニティを活性化するような取り組みが上手ですよね。
異儀田(MIXI):モンストは強固な世界観を持つコンテンツというより、開かれた懐の深いコンテンツです。だから、どんなジャンルのIPでも受け止めて咀嚼して、モンストらしいコラボを実現できているのかもしれません。
佐藤:「ファンダム」「コミュニティ」のキーワードに関連して、小泉さんが取り組まれていることを教えてください。
小泉(WFS):ファンマーケティングやコミュニティマーケティングは、当社が長年注力している取り組みです。オンラインを活用したコミュニケーションもありますが、オフラインイベントやグループインタビューを実施し、お客様と近い距離で相互にコミュニケーションをとるよう意識しています。このような機会があるかないかで、お客様の「応援したい」「プレイし続けたい」と思う気持ちが変わってくると考えています。
佐藤:最後のアジェンダは「未来に向けて今から取り組んでいること」です。ここまで議論してきたアプリビジネスの現在や、考えられる未来を踏まえてキーワードをお聞きしたいと思います。
小泉(WFS):私のキーワードは「スーパーニッチ」です。先ほどもニッチという言葉が出てきましたが、全員に楽しいと思ってもらうのではなく、人を選ぶが選んでくれた人がとことん好きになってくれるタイトルをつくることが重要だと考えています。
未来の市場で生き残るために、当社ではRPGの作品性・作家性を研ぎ澄ませることに取り組んでいます。「ライトフライヤースタジオから出ているものは間違いない」と思っていただけるように頑張っています。
「他社がやっているから」ではダメ
異儀田(MIXI):我々は未来に向けて「ライフサイクルをアップデートするような体験創出」に取り組んでいます。ユーザーのライフサイクルに変化や良い影響を与える、その体験を媒介するようなタイトルを出していきたいと考えています。
また「コンテンツに即した新しいデリバリープランの提案」にも注力しています。プッシュ型のプロモーションばかりでは、運用する側も疲弊してしまうでしょう。コミュニティやファンダムから生まれたコンテンツを活用したり、新しいユーザー層へアプローチしたりと、マーケティングの打ち手=デリバリープランを更新しなければ頭打ちになると思います。
佐藤:最後にお二人からメッセージをいただけますか。
小泉(WFS):繰り返しになりますが、今の日本のアプリゲーム市場では中国や韓国から多くの企業が超ハイクオリティなゲームを携え、超リッチなプロモーションで進出してきています。そのような厳しい市況下で生き残るために当社が目指しているのは「作品性・作家性を研ぎ澄まし、良いものをつくってしっかりと届け、お客さまとともに育てていく」という非常にシンプルなことです。皆様の参考になれば幸いです。
異儀田(MIXI):現状を鑑みるに「アプリゲーム市場は今後も堅調に伸びます」と大手を振って言うことはできません。我々を含め、アプリゲームで戦うと決めている企業はアプローチを変える必要があります。「他社がやっているから」という理由でアプローチを変えるのではなく、モバイルで届ける意味、その人たちに届ける意味を定めた上でコンテンツの方向性を定めることが大切だと思います。
佐藤:今日のお話を聞いて、皆様と一緒にアプリゲーム市場をIGNITEしていきたいと改めて思いました。お二人とも、本日は貴重なお話をありがとうございました。