MAツールはサブチャネルとも連携させよう
――連載もついに第3回となりました。引き続き、橋本さん、飯島さん、梅澤さんに話をうかがっていきたいと思います。
――これまで、マーケターの“あるある”の課題に対して有効な「10の手法」を6まで見てきました。今回は「7. マーケティングオートメーションの活用によりメール配信を自動化すべし」からうかがっていきたいと思います。まず、MAツールをどのように活用すれば良いか、ポイントを教えてください。
橋本:まず、MAツールを使うことで、業務効率化が図れるマーケティング業務を定義しましょう。マーケターには様々なミッションが課せられますが、そのうちの一つである「社内外を問わず多様な層に対して、“最適な情報”を届けること」において、MAツールは特に有効です。
そして、ツール活用の際のポイントは、「これまで手動で行っていたあらゆるメッセージ配信を自動化すること」です。昨今のMAツールはメールのみならず、LINEやSlackなど様々なツールと連携ができます。そのため、自社のメインチャネルのみならずサブチャネルとも連携しておくと良いでしょう。ただし、MAルーツを活用して必要以上に多くのメッセージを配信してしまうと、開封率や既読率が下がってしまうので、パーソナライズによる配信者と関連性の高いメッセージの配信を心がけましょう。
ペルソナ設計は「手動」、セグメント分類は「自動」で
――MAツールを活用するには顧客情報の登録が必要ですが、効率の良い情報収集法はありますか。
梅澤:顧客情報の収集は、大々的なキャンペーンやイベントを活用して一気に集めるのが私の経験上、最も効率的でした。そして、データマイニングにも自動化が有効です。手作業で一つひとつの情報を精査し、スプレッドシートに入力していては時間がいくらあっても足りません。企画段階からSNSやLINEと連携したキャンペーンに設計しておくことで、情報を取り込む際の時短を意識しましょう。
――顧客情報を基にセグメンテーションする際のポイントを教えてください。
橋本:セグメンテーションに関しては、顧客の属性情報に加えて、顧客の行動に基づいたスコアリングが非常に重要です。ユーザーの行動履歴を注視してみてください。たとえば、とあるユーザーが「ベビー・キッズ用品」を頻繁に検索していたら「その家庭には幼い子供がいるな」など、顧客属性に対する仮説を立てられます。
BtoBであれば、サービスの契約に関するQ&Aや料金表を閲覧しているユーザーのスコアを高く設定することで、受注につながりそうな顧客の情報を担当営業にリアルタイムに通知するなどして、お客様への訪問の優先順位を最適化することができます。
行動履歴から顧客のペルソナおよびセグメントを設計する作業は手動になりますが、顧客の行動や属性情報に基づいて最適なセグメントに分類する部分も、AI/MLで自動化できます。たとえば、セグメントを四つ設定し、それぞれで打ち手を変えようと思っている場合、各セグメントにどの顧客が該当するのかを学習データを基に自動で識別してくれます。その結果、それぞれの顧客に最適な打ち手を実行できるわけです。