会社員と個人、両方の立場で社会価値の創造に取り組む
菅原:本日は博報堂ケトルの村山佳奈女さんがゲストです。移転したばかりのケトルさんのオフィスに来ていますが、料亭をリノベーションしただけあって雰囲気がありますね。
さて、村山さんと私はB Corp(B Corp Certification:環境や社会に配慮した公益性の高い企業が取得できる認証)のネットワークで知り合いました。私はあくまで「仕事」としてB Corpに参加しているのに対し、村山さんは「個人」としてB Corpに関わっていること、かつ歯に衣着せぬ物言いに大変興味を覚え、お声を掛けさせていただきました。
改めて、まずは簡単に自己紹介と普段のお仕事について教えてください。
村山:博報堂ケトルでクリエイティブディレクターを務めています。キャリアとしては広告からスタートし、その後PRにも携わるようになりました。
菅原:PR会社に所属するクリエイティブディレクターとは、この業界では珍しいですね。
村山:博報堂ケトルは広告会社兼PR会社といいますか、境目があまりない会社だと思います。私は、ここ数年はジェンダーやサステナビリティにコミットする仕事にボリュームを割いています。理由としては、私自身が興味関心を持っている領域であること、そして世の中のニーズが高まっていることにあると思います。
菅原:ありがとうございます。今回の連載では、様々な立場の方にインタビューさせていただいているのですが、エージェントという立場は村山さんだけなので、ぜひいろいろと話をうかがっていきたいです。また、会社員ではなく個人としての関わり方についても興味がある方は多いと思うので、お話しいただければと思います。
社会価値があるか見定めるポイント
菅原:まずエージェントとしての関わり方についてうかがいます。博報堂ケトルさんも当社もエージェントという立場でクライアントの事業をPR的な観点で支援しています。一方で、クライアントからの与件が、博報堂ケトルさん風に言えば「世の中と合意形成する」ことと、そぐわないときもあるのではないかと思います。
たとえば、グリーンウォッシュなど、PR内容と事業実態のギャップが問題視されるケースもあります。村山さんはその点、いかがお考えですか?
村山:幸いなことに、私の場合、事業が社会価値の創出にきちんと向き合っていると感じる、かつ私自身がその事業に腹落ちできて、尊敬できるお仕事のPR依頼が多いです。では、一体何を基準に仕事を受けるのかというと、私は「今、対面で向き合っている担当者を信じられるか」をまず確認するようにしています。