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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

ソーシャルリスニングから見るSDGs最前線

プチプラファッションを愛する若者心理から読み解く、SDGsアクションのヒントとは?

「安さ×使い捨て」から見えてきた4つのネガティブインサイトとは?

1.買い物に過度な期待をしない「失敗OKマインド」

 良い商品を購入するため、生活者はSNSなどで多くのクチコミを確認している。しかしEC通販の購入では期待した商品と実際届いた商品が異なる場合もある。そのため「安いので失敗するのは当たり前、当たればラッキー!」といった感覚でECでの買い物を楽しむ人が増えている。X(旧Twitter)上の発言でも「#〇〇当たり」とタグ付け発信されているほか、当たりの商品を探すためのコツに関心が集まっている。

 もし買った商品が思っていたイメージと違ったなどの「失敗」をした場合も、SNSでクチコミとして発信。誰かの参考になっている感覚を得ることで、自らの気持ちを整えている行動も見られた。

2.トレンド多様化で加速「プチプラトレンドチェイサー」

 特にファッションは、トレンド変化のスピードが速い業界として知られている。さらに最近ではトレンドの多様化が進み、よりトレンドに乗るのが難しくなってきている状況がある。そんな中でも、若者はトレンドを楽しむためにプチプラファッションブランドを活用している。

 ハイブランドだとデザインが古く感じてしまう場合もあるから、その時代に合ったファッションを楽しみたい人はプチプラ服をうまく活用するのが必要だよね

 服はトレンドをおさえたプチプラでも、これは!ってものにはしっかりお金をかけるときちんと見えるようになる!

 また、安いからこそ今まで着たことのない新しいスタイルに挑戦する人たちの増加も見られた。今までは高くて買えなかったロリータなどのアイテムも、プチプラファッションの登場でファッションの幅が広がっているという。

3.推しに会う服の着用は1度きり「推し活ファッションの追求」

 推し活の流行に伴い、推しに会う時のファッションに対する言及の増加も見られた。その中で推しに会う時は毎回違う服でいたい・推しカラーでアピールをしたい、など推し活ファッションを楽しむ人たちも増えてきている。

 推しの前でできるだけ同じ服は着たくない。

 またこの服着てるって思われるのは嫌。

 推しのライブプチプラ服で参戦したんだけど、推し色の服は普段着ない色だからプチプラでお手頃に買えるの助かる!

 こうした方々は、特に色に着目している。普段着ない色だからこそプチプラで済ませることから、プチプラファッションの需要が高まっている。

4.プチプラだから大量に買える「ストレス爆買い」

 ストレスの発散方法の選択肢として「たくさん買う」ことが挙げられる。ファッションアイテムを爆買いしても、プチプラで購入すれば財布へのダメージが少ないことから、大量購入してストレスを発散する人も少なくない。

 ストレス発散したい!安い通販サイトでたくさん買って満たされよう……やめたいけどストレス発散方法がこれしかないからやめられない。

 このようにプチプラファッションで爆買い体験をしている人も増えている。

「安さ×使い捨て」から見えてきた3つのポジティインサイトとは?

 ここからは3つのポジティブなインサイトに着目していくことで、SDGsアクションを自ら行いたくなるヒントを探そう。

1.息をするようにフリマ活用「フリマの日常使い」

 プチプラのECサイトで服の購入を行う人たちは、合わせてフリマアプリでの検索も行い商品の情報を収集している。買う前にもフリマアプリで検索を行い、着なくなった際にもフリマアプリで販売し、巧みに使いこなしている。

 また、始めからフリマアプリでプチプラブランドを購入するユーザーも多く、「安さへのこだわり」に拍車がかかっているように見受けられる。

 一方で少しずつではあるが「服を捨てることへの抵抗感」を感じる人たちも増えてきている。フリマアプリだけでなく、リサイクルに出したり、店舗での服回収に持っていったりと、捨てる以外の選択肢も出てきている。

2.ネガティブもきちんと知りたい「安さの裏側への警戒心」

 安い商品が流通する一方で、その裏側にひそむ問題がSNSでも注目を集め、結果安いブランド商品の購入にためらいがある生活者も存在した。たとえば労働問題・環境問題など、安い商品が製造されるまでの過程に関する言及が急増しており、近視眼的に利益を追求する企業・ブランド自体に対しての不信感が生まれていることも少なくない。

 こうした背景からよりウソのない誠実な対応を企業に求める声が高まっており、モデル・インフルエンサーではなく一般の人のリアルなクチコミを求める声が高まっている。

3.洋服を着たあの時の思い出が宿る「思い出服の意識拡大」

 子ども服を中心とした「思い出が詰まっている服」に対して「捨てたくない」という声がSNS上で多く見られた。子どもの成長してきた思い出が詰まっているため、値段が安いもの、高いものに限らず捨てづらいようだ。

 捨ててしまう代わりにリサイクルや、フリマアプリに出品することで、自身の気持ちを整理するだけでなく無意識的にごみ削減の行動につながっている。

 企業からも、子ども服を循環するサブスクリプションサービスや、おさがりを意識し、繰り返し名前をかける洋服タグづくりなどの取り組みが始まっている。

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「安いから捨ててもいい」マインドを減らすにはどうしたら良い?

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この記事の著者

増田 実紗(マスダ ミサ)

 2020年よりTBWA HAKUHODOに所属し、ソーシャルボイスを起点とした戦略立案組織65dB TOKYOの立ち上げから参画。

 デジタルマーケティングにおける企画、運用、分析業務の知見・経験を活かし、行政との市民の声の調査・ゲーム領域・キャラクタービジネス・健康飲料・生活用品ブランド等多領域にわ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/43468

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