※本記事は、2023年9月刊行の『MarkeZine』(雑誌)93号に掲載したものです
【特集】事業フェーズ×組織規模で見る「BtoBマーケティング」
─ 【前編】Howに陥りがちなBtoBマーケティングをWHO/WHATで見直す、戦略立案の5ステップ
─ 【後編】Howに陥りがちなBtoBマーケティングをWHO/WHATで捉え直す、戦略立案の5ステップ
─ つまずきポイントを知って成果につなげる ABMのベストプラクティス
─ サイバーセキュリティクラウドに学ぶ、100名規模の企業がBtoBマーケに取り組む際の心得
─ Chatworkに学ぶ成長期のマーケティング、変革を続ける戦略と変容する組織のあり方
─ 急成長スタートアップCrossBorderに学ぶ、既成概念を越えたBtoBマーケティング&営業手法(本記事)
─ 部品屋からグローバルのソリューションカンパニーへ。創業82年の工業製品メーカーNOKのパーパス経営
─ 【BtoB組織改善の一手】マーケ・営業・CSの全体最適を図る、ビジネスイネーブルメントとは
─ 日本のBtoBマーケはなぜ遅れているのか?海外の最新トレンドと日本企業の課題を庭山さんに聞いてみた
「インテントセールス」のカテゴリー創造に挑戦
――はじめに、CrossBorderが展開している「インテントセールス」について、どのような手法なのか教えてください。
インテントセールスとは、企業の検索データでニーズに基づいた顧客起点のセールスを可能にする、新しい時代の営業手法です。「どの企業が・どんな行動をしていて・そこにはどんなニーズがあり・今何を必要としているのか」といったニーズを興味関心データから分析し、それを踏まえて営業をするという考え方で、マーケティングと営業の間にあるような考え方とも言えます。
従来のBtoBマーケティングおよび営業では、企業の業種業界や売上高、社員数、エリアなどの属性データをもとにターゲティングするしかなく、そもそもニーズがない企業にアプローチをすることのほうが多いため、なかなか商談が生み出されないという課題がありました。その点、インテントセールスの提供価値は「商談化率・成約率を上げる」というところにあり、主に新規開拓の営業で活用されています。
海外ではBtoB企業のおよそ6割が既にインテントデータを使っていると言われていますが、日本ではそもそもインテントセールスを可能にするソリューションがなかったので、これまで広がってきませんでした。我々が提供しているセールスインテリジェンス「Sales Marker」では、約490万の企業データベースと企業のインテントデータを用いることができ(※1)、それをもとにマルチチャネルで営業アプローチができる機能まで有しています。データを入力・蓄積・分析するだけでなく、アプローチするところまでを掛け合わせることで、企業のインテントセールスを可能にしています。
──「Sales Marker」のマーケティングにおいては、「インテントセールスとは何か」の認知・啓蒙から必要になると思います。どのようにこれを実施していますか?
我々のマーケティング組織は、認知・ブランディングの部門、リードジェネレーションとリードナーチャリングの部門、インテントマーケティングの研究開発部門の3部門が横に並んでおり、その上にコンテンツマーケティングの部隊を置いています。インテントセールスという日本でまだ浸透していない概念を浸透させ、新たな市場を創造していくために、「インテントセールスとは何なのか。どんな新しいことができるようになるのか」を伝えていくためのコンテンツマーケティングがまずは必要になるからです。先に下地を作った上で、そのコンテンツを使ってリードジェネレーションやリードナーチャリングを行うというフローにしています。
──インテントセールスを広めるにあたっては、YouTube、テレビ番組への出演をはじめ小笠原さんが自ら積極的にメディアに出られており、巧みなPR施策にも注目していました。
成長しているスタートアップの戦略を分析してみると、新しいチャネルが出てきたときに、いち早くそのチャネルをハックして情報発信を行い、リードや顧客の獲得単価を著しく下げるという戦略をとっている企業がほとんどでした。これを参考に、私も新しい情報発信のチャネルは積極的に用いるようにしています。
その際、コンテンツマーケティングおよびPRでは、どこにどんな人がいるのかを意識しながら情報発信することを意識しています。たとえば、今年6月にYouTubeの「PIVOT公式チャンネル」にタイアップで出演させていただいたのですが、先進的かつ今までの常識に囚われないような概念・考え方を求めている視聴者が多く集まっており、インテントセールスを広める場として非常に相性が良かったと感じています。