ポイントカードを活用した地域戦略の推進
地域戦略では、2014年よりスタートした北海道共通ポイントカード「EZOCA」を活用している。現在発行枚数は214万で、道民の2.5人に1人が保有(2023.11現在)。地域内で非常に多くのIDを持つことで、大きなアセットとなっている。

その特徴的な活用事例として、道内スポーツチームとのコラボが挙げられる。たとえば、サッカーJ1リーグに所属する北海道コンサドーレ札幌(以下コンサドーレ)とコラボしたコンサドーレEZOCAを保有していると、買い物をすればするほどコンサドーレにポイントが還元される。そのポイントはサツドラなど買い物をされた加盟店が負担をする仕組みだ。熱心なサポーターだけでなくライト層も巻き込み、せっかくなら加盟店で購入してチームに貢献しようと消費行動を変えていった。
加盟店側も集客効果につながる上、購入時にコンサドーレEZOCAを提示されたときだけに販促費が発生するので、従来のようにユニフォームにロゴを入れるといった方法よりも負担の少ない形でチームをスポンサードできる。

「ライトにコンサドーレを応援できるコミュニティとして、お客様にも企業にも広がり、我々の成功事例となりました。応援の感情が乗ったポイントになることが通常のポイントカードと違うところで、地域らしいカードになったと思います。現在はバスケットボールやバレーボールのチームなども同じスキームで応援させていただき、関連する年間総売上は12億円ほどになりました」(富山氏)
さらにスポーツチームとコラボしたビールを販売するといった商品施策も展開した。サッポロビールが北海道限定で発売するサッポロクラシックとコンサドーレのコラボでは、「飲めば飲むほどコンサドーレに還元される」と告知することで、毎年発売されるとサポーターが購入しSNSが湧いている。リポビタンDとコラボした際は、半分以上新規顧客による購買となり、ロングセラー商品でも新規顧客を獲得できたことが喜ばれた。

地域課題を解決する還元型EZOCA
EZOCAでは道内の自治体と提携したポイント還元モデルも作っている。たとえば江差町と提携した「江差EZOCA」は、サツドラ関連の店舗だけでなく、町内商店40店舗でも使える。さらに札幌など他の地域のサツドラで買い物をしても、江差EZOCAを出せばポイントは江差町に還元されるという、ふるさと納税のような仕組みとした。加えて町内での健康診断受診やイベント参加でもポイント付与がされる。

同社では他にも、オンラインフィットネスや栄養相談、乗合タクシーの運用、高齢者向けスマホ教室など、EZOCAを起点に様々な取り組みを行っている。これによって町民の様々な行動ログが蓄積されるため、さらにそれらをサービスの拡充に活用していくことができる。
「リアルだけでなくオンラインも組み合わせることで、町のサービスを我々が担わせていただいています。ビジネスとしての売上を伸ばしつつ、地域で持続可能なモデルを創っていこうとしています」(富山氏)