「検索」起点だけでなく「リテールメディア」関連にも注力
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、これまでのMicrosoftでのご経験や、現在担当されている領域やミッションなどについてお聞かせください。
カーター:私は現在、Microsoft Advertisement(以下、Microsoft広告)のグローバル責任者を務めています。17年前にMicrosoftに入社してから、広告事業の営業・マーケティング部門を担当してきました。私が入社した当時はまだ非常に小規模なビジネスでしたが、現在Microsoft広告は、35の言語で、あらゆるチャネルに対して非常に広範なビジネスを約190の市場に対して展開しています。
有園:私は2022年8月からMicrosoft 広告の日本における事業責任者を務めています。1990年代後半から20年以上にわたってネット広告業界に携わり、Overture(現Yahoo!)やGoogleなどで勤めたほか、直近では10年以上デジタルマーケティングのコンサルタントとして広告業界に携わりつつ、2022年に現在のポジションに就いた形です。
MZ:2022年5月に、Microsoft広告が日本市場で提供を開始してから1年半が経過しました。そんなMicrosoft広告の特徴や強みについてお聞かせください。
カーター:Microsoftの一番の強みは、グローバルでの広大な顧客基盤です。検索エンジンからニュース配信、リテールメディア・プラットフォーム、DSPとSSPまで、他社が簡単にはまねすることができないようなオムニチャネル・マルチフォーマットを提供しています。
当社ではこれまで「検索」に焦点を当てたビジネスを拡大してきました。しかし近年では、リテールメディアにおける高度なオーディエンス・ターゲティングにフォーカスしたビジネスも急激に拡大しています。プログラマティック広告マーケットプレイスへの進化に加え、2022年7月にNetflixとの独占的パートナーシップを発表、さらには2023年の9月に「Ads for Chat API」でのアップデートを発表しました。常に自分たちができることを更新し続けられている点は当社の強みだと考えています。
生成AIの対応でタッチポイントを創出 モバイルアプリのDL数は4倍に
MZ:昨今、広告業界では「生成AIの活用」という新たな潮流も生まれています。長年グローバルのMicrosoft広告事業を見てきたカーター氏は、AI活用による変化をどう感じていますか。
カーター:Microsoftでも今まさに、生成AIに注力しています。2023年2月には大規模言語モデルのGPT-4を取り入れたBing Chatの開始により、「検索」の機能を大きく進化させました。
PCだけでなく、Bingのモバイルでの利用者もBing Chatを開始してから大幅に増加しています。具体的には、Bing Chatをローンチして以来、モバイルアプリの日別のダウンロード数は約4倍に増加しました。
このように、これまで通りの検索方法でプラットフォームに訪れる人に加え、チャットを利用するためにプラットフォームに訪れるという、新たなタッチポイントが生まれています。WindowsやEdgeなど他のサービスの成長を促進する要因としても、生成AIの登場はMicrosoftの成長を加速する良い機会だと考えています。