課徴金納付命令がないと高を括るのは危険
──都度、消費者庁の示す基準を確認する必要があるとのことですが、判断に迷うケースも出てくるかと思います。
正直に言えば、普段から顧問弁護士や外部の弁護士といったプロへの相談とチェックができる社内体制を整えておくことが望ましいです。ステマ規制に違反すると措置命令が下され、再発防止策の提出が求められます。その中には、今後どのような社内体制で広告チェックをしていくのか、そこにどう専門家が関与していくのか、さらに従業員への研修を通じた啓発活動をどうやるのかを盛り込まなければなりません。
ならば、問題が発生する前に従業員への研修や、専門家によるチェックができるようにしたほうが、リスクヘッジになりますよね。
──貴事務所に相談に来る企業の皆さんに、共通して伝えているポイントはありますか?
今回の改正に違反した場合「指定告示違反」という形になるので、実は課徴金納付命令の対象にはなりません。有利・優良誤認に違反すると、措置命令と課徴金納付命令の二つの行政処分が下ります。しかし、指定告示違反では措置命令だけです。
そのため「たいしたことないのでは」と考える企業も中にはいます。しかし、今は措置命令を受けるだけでメディアに報道されてしまい、たちまち拡散されます。「順法精神がない会社だ」と企業価値を毀損する事態になりかねません。積み上げた信頼を回復することの大変さは、マーケティングに携わる皆さんのほうがご存じかと思いますが、課徴金納付命令がないからといって高を括るのはかなり危険だと思います。
措置命令も企業にとってはかなりダメージが大きい。ステマ規制の対象にならないように、しっかり従業員の意識を高めていくことと、相談できる専門家と連携するという意識を持っていただきたいです。