ブランド認知や購入意向に強み!動画・バナー広告との比較で見る音声広告
動画に比べると音声は断片的で、広告の性能も低いと思われがちですが、必ずしもそうではありません。メッセージを伝える際、動画と音声ではそれぞれの役割があります。
オーストラリアのオーディオ配信会社ARNの研究機関「NeuroLab」の調査レポートでは、興味深いことが示されています。同レポートでは、キング牧師の「I Have a Dream(私には夢がある)」の一節で知られる有名な演説を、「映像+音声」で見せた場合と「音声だけ」で聴かせた場合で2つの神経反応の差を調査。その結果、「音声だけ」のほうが神経学的レベルで脳が強い反応を示していることがわかりました。

これは、映像がある場合は視覚情報である動画(ビジュアル)に気を取られメッセージへの注意が減る傾向があるのに対し、音声だけの場合はメッセージにより集中していることを示しています。つまり、広告活用でも企業やブランドの重要なメッセージは、音声のみの形だとより強力に消費者に伝えられるといえます。
また、音声広告はバナー広告との比較における有用性も示されています。米国のMidroll Mediaが行ったバナーと音声の広告キャンペーンにおけるブランドリフト調査では、ディスプレイバナー広告よりもポッドキャストの音声広告のほうが4.4倍のブランド認知効果が出ました。また同調査では、ポッドキャスト広告を視聴したリスナーは購入意向が平均10%上昇したことも示されました。
音声広告の接触では、前述の通り没入感が高い状態にあるため、広告体験においてもより「そそる」状態を作られていると考えられます。特にイヤホンなどで音声コンテンツに触れている状態では、五感の一つである聴覚を専有している状態になるため、よりその効果が高いといえるでしょう。
音声広告の効果を検証する3つの方法
インターネットの音声広告では媒体によってデータを活用できるため、定量的なレポートによる効果検証を行えます。実際に音声広告の効果検証を行う場合、大きく分けると次の3つの方法があります。
ブランドリフト調査
音声広告の有効な活用方法の一つが、ブランド認知や興味関心、商品理解を深めるためのアウェアネス施策です。これら施策の効果は、ブランドリフト調査で可視化できます。
具体的には、広告接触者と非接触者への調査データを比較し、その差分をリフト値として分析します。競合他社の認知率などとの相対的な調査を行うことで、より深いインサイトを明らかにすることも可能です。実際の事例として、オトナルが関わったスギ薬局様のキャンペーンでは、音声広告実施後に他社店舗と比べ利用意向において明らかな有効性が示されました。

アトリビューション分析(サイト来訪/CV寄与)
音声アプリや一部のポッドキャストでは、音声コンテンツを聞いたリスナーがサイトに訪問したかどうかを測れます。音声コンテンツでアトリビューション分析を行う場合、短期的な音声からのWebコンバージョンだけでなく、長期的な音声コンテンツの寄与、バナーや指名検索など他のメディアチャネル全体との相互効果、サイト滞在率やリピート(ロイヤリティの高さ)なども加味して広告評価をすると良いでしょう。
実際、過去にオトナルが関わったある音声広告キャンペーンでは、音声広告経由の流入ユーザーは他の広告施策からの流入顧客に比べてサイトの回遊率が非常に高いというデータが出ました。

来店計測(位置情報の地点CV)
インターネットラジオや音楽ストリーミングサービスなどの音声アプリ広告出稿を行う場合は、位置情報データを使った来店計測が実施可能です。商圏が決まっており、特定店舗への集客効果などを見たい時は、この来店計測データを用いることで擬似的に来店効果を測れます。

以上、今回の記事では音声コンテンツの持つ性質とその役割、他メディアとの比較、そして効果計測の方法などを解説しました。
生活者の「ながら時間」に有効にリーチでき、長期記憶やエンゲージメントが非常に高い点が、音声広告の特徴です。効果検証も、音声広告であれば実現できます。ぜひ読者の皆様のマーケティング活用におけるヒントにしていただければ幸いです。