音声広告ならではの強み「ながら聴き」
連載の第1回では、音声のマーケティング活用が注目される背景や市場動向についてご紹介しました。第2回となる今回は、デジタルオーディオ広告(以下、音声広告)ならではの特徴や効果、その役割などを解説していきたいと思います。
「音声広告」とは、インターネットの音声メディアで再生される音声の広告です。具体的にはインターネットラジオやポッドキャスト、音楽ストリーミングサービスなどで流れる広告を指します。英語圏を中心に、新興のデジタル広告フォーマットとして動画広告と並び高い成長率を示すなど、今まさに成長中の広告分野といえます。
音声コンテンツというと、動画コンテンツの映像部分をなくしたもの、音声部分だけを切り取ったものとして見られることがあります。しかし、両者の聴取スタイルには大きな違いがあります。
人間が生活時間の中で行動できる時間は限られています。特に働いている時間や移動時間などは、メディアに接触しにくい時間です。音声コンテンツの最大の特徴は、本来メディアに接触しにくい時間でも「ながら聴き」という方法で接触ができることにあります。むしろ音声の場合は、何かをしながらコンテンツを聴くスタイルが主流です。
イギリスのBBCが行った調査では、音声メディアの一つである、ポッドキャストの利用者の94%が「何かをしながら音声コンテンツを聞いている」と回答しました。このことからも、音声メディアというのは原則、生活時間において何らかの別の行動と同時に接触されるメディアであることがわかります。
1日に5時間以上ある「ながら時間」を最大限活用
またビデオリサーチの調査によると、1日の生活時間には何かをしながらメディアに触れることのできる「ながらメディア接触可能時間」が、約5時間30分から6時間40分も存在します。この時間は、最も音声コンテンツが真価を発揮できる時間といえます。
音声コンテンツは消費者が移動中や家事などの作業をしながら楽しめるため、この「ながらメディア接触可能時間」を有効に活用できるのです。このことから、本来24時間しかない1日の時間の中で、生活者が情報をインプットする時間を拡張できるメディアだといえるでしょう。
かつて放送が中心の時代は地上波ラジオで「現在流れている放送を聞く」形でしたが、現在はオンデマンド型でリスナーが好きなタイミングでコンテンツに触れられることが可能に。利用者が能動的に、好きな時間に、好きなコンテンツに触れられるようになったため、メディア接触時間を拡張できる音声コンテンツの強みが最大限に発揮されるようになりました。