情報の内容、ツール名、利用目的をわかりやすく明記
──続いて、外部送信規律で通知または公表すべき事項の整理はどのように行えば良いのでしょうか。
外部送信規律で通知または公表しなければならない事項は「1.送信されることとなる利用者に関する情報の内容」「2.1の情報を取り扱うこととなる者の氏名または名称」「3.1の情報の目的」の3つです。
今回の改正の出発点は、利用者に対する情報通信の透明性の確保です。ウェブサイト、アプリを利用すると何の情報が、誰に、どのような目的で送られるかを明示する必要があります。
──様々な広告、アクセス解析に関するサービスを使っている企業がほとんどなので、その整理は大変そうですね。
たとえば、複数ブランドで別のオウンドメディアを運営している場合、異なるツールを導入していたり、マーケティング担当が分かれていたりしているので、それぞれの内容を整理する必要があります。
──3つ目の通知または公表の方法についても教えてください。
通知でも公表でも共通しているのは「日本語で記載する」「専門用語は使わない」「平易な表現を使う」「文字を適切な大きさで表示する」ことの4点です。
通知の場合は先ほどお伝えした3つの事項を用意に確認できるよう、情報か情報が載っている場所(リンク)をポップアップなどにより表示する必要があります。一方、公表する場合は、利用規約やプライバシーポリシーのように、利用者がすぐたどり着ける場所に情報を表示しなければなりません。
改正電気通信事業法に対応した通知や公表ができるツールを提供する企業もあるので、そういったツールを導入、活用するのも良いでしょう。
──同意は取らなくても大丈夫なのでしょうか。
はい、同意までは求められていないので、通知または公表で問題ありません。同意取得での対応も可能なのですが、同意取得で対応すると、広告やアクセス解析ツールを新規導入したり入れ替えたりしたときにまた同意を取る必要が出てくるので、現実的ではありません。

部門を超えた連携が重要に
──今後も個人情報保護法や電気通信事業法など、データ活用やマーケティングに関わる法律の改正が行われる可能性もあると思います。今後マーケターはどのように法律と向き合っていくべきか、アドバイスをいただけますか。
個人情報保護法に関する対応もそうですが、マーケティングや法務、情報システムなどが部門を超えて連携することが重要です。法務だけでは規制の対象になるツールがわからず、マーケティングや情報システムの部門では法律の内容を理解するのは難しくなっています。
外部送信規律の対応も部門間で連携できていないと、せっかく法規制に対応するためのサービス・ツールを導入したのに外部送信規律に関する記載がウェブサイトやツールを導入、活用するのも良いでしょう。
──同意は取らなくても大丈夫なのでしょうか。
はい、同意までは求められていないので、通知または公表で問題ありません。同意取得での対応も可能なのですが、同意取得で対応すると、広告やアクセス解析ツールを新規導入したり入れ替えたりしたときにまた同意を取る必要が出てくるので、現実的ではありません。アプリで適切にされておらず、十分な法規制対応になっていないといった事態も起きてしまいます。導入前の段階で外部送信規律に記載すべき事項を法務や情報システムと連携していくと、法規制に対応するツールの導入もスムーズに対応できます。
このように、組織で即時に対応する体制の整備が今後求められてくると思います。