SNSを用いた、「購入したくなる」ポイントとは
では、フェアトレードを含めたサステナブル商品の購入を促すために、企業として何ができるのだろうか?
SNSでは商品やサービスの口コミを調べて情報収集をし、さらにその情報をきっかけに購入にまでつながっていることが増えてきている。そこでフェアトレード商品の購入も、SNS起点で話題になりやすくなるWant to因子を発見していこう。
1.特別なネーミング
近年、「スペシャリティコーヒー」や「応援金をたどれるチョコ」といった、キャッチーでわかりやすい商品にすることにより、購入意欲をブーストさせている。
コーヒー豆もフェアトレードを選ぶようにしている。(フェアトレード+品評会を通るコーヒーである)スペシャリティコーヒーのみを扱うお店でバイトしていた時に学んだなぁ。コーヒーのフェアトレード=スペシャリティコーヒーって覚えてもらえたら、わかりやすい!
応援金をたどれるチョコレートでは、「ガーナの児童労働をなくそうチョコ」「ベネズエラ:原住民女性を守れるチョコ」など、応援消費に結びつくようなネーミングの商品を販売している。

2.推しの力
フェアトレード商品をSNSで「買いたい!」を助長させるポイントの2つ目は、推しの力を借りることだ。
まずはSNSであった、購買につながる興味深い動きから見ていこう。以前、Xで「イケメンすぎるたまご農家」が大きな話題となった。「作り手がかっこいいから買う」という、商品自体ではない付加価値による購入理由が注目された。この「推し生産者」のように誰でも”推し”になる時代だ。推しの発信により、認知拡大&購入促進につながった事例はフェアトレードでも、以下のように見られた。
フェアトレードを取り上げたアイドルグループのラジオ放送後には、SNSで同話題について、盛り上がりが見られた。
ラジオで取り上げてくれた、フェアトレードのこと改めて意識してみるきっかけになった。〇〇(商品名)チェックします。
フェアトレード、初めて聞きました。必ず覚えておきます!
フェアトレード、何度も聞いて考えているけれど、日々の暮らしの中ではつい忘れがち。反省。
推し起点の発信ではSNS内でファン同士が、フェアトレードについての理解を深めるコミュニケーションも見られるなど、「買いたい!」を加速させるアクションが見られた。

実感の湧かないアクションを加速させるには
ここまで、「知らないうちに消費」されており「話題にされづらくなってきた」フェアトレードのアクションを加速するヒントを探ってきた。近年見られる価値観の変化に対応するためには、フェアトレードを直接訴えかけるのではなく、いかに自然な形で生活者に届けられるかが重要であるとわかってきた。
次回、連載の最終回ではフェアトレードに注力する企業担当者インタビューを通して、企業の立場からフェアトレード商品購入浸透のカギを探っていく。