公式noteと「KIRINto」、担当者に聞くコンテンツ作りのポイント
MZ:平尾さん、戸所さんは企画や運営、取材対象の選定でどういったことがポイントだとお考えですか。
平尾:私は公式noteのコンテンツを企画する際、キリンらしいユニークなポイントがあるかを大切にしています。また社内から「noteで取り上げてほしい」という相談ももらうのですが、その話もただ受けるのではなく、部署が異なる私たちだからこその気づきや視点を提供することを意識します。着眼点を変えるなど、企画をブラッシュアップしてコンテンツを作るようにしていますね。

戸所:「KIRINto」では、外部からは今の時代や空気を捉えているような方にご登場いただくよう意識しています。キリンの役員から対談後に「学びや気づきが非常にあった」と言ってもらえることも多く、外部発信だけでなく社内にも良い影響を与えられていると感じます。
MZ:社内への影響の話が出ましたが、発信以外のメディアの効果や役割はどのようにお考えですか。
平山:自分たちの考えや取り組みを整理することで、従業員のキリンという企業への解像度の向上に役立っていると感じます。またコンテンツが増えることで、キリン自体の考え方が統一・整理されるので、社内ではコンテンツによるマネジメントも期待されているほどです。これらはオウンドメディアの副次効果ですが、インターナルに効果を発揮していると感じますね。
実際に公式noteの企画から取り組み内容を変更した事業部もありましたし、社内でのコミュニケーションのスキーム作りも、オウンドメディアが実現できる役割なのではないかと感じます。
社内での出来事はすべてコンテンツになる
MZ:コンテンツの制作や運営の維持が困難だという話も多いと思います。2019年から継続して発信を続ける貴社から、持続可能なオウンドメディア運営について重視していることを教えてください。
平山:会社の内側に足場を持ちつつ、世の中の状況・空気を感じ取る外部の目線も持つ、内外のバランス感覚が大事だと考えています。たとえば「バズ狙いのコンテンツを作ったものの社内から反響がない」という状況は、内外のバランスを欠いたことで起こり得るものだと思います。
オウンドメディアはあくまで自社内の資産にフォーカスし、世の中の興味・関心に沿って発信することが前提です。ただ、社外からの反響がそこまで大きくなくとも、社内に響き従業員のモチベーションになることもあります。PVなど表面上の数字に翻弄されてしまうと持続的なメディア運営にはつながりませんから、内外の両方を意識したコンテンツ作りが欠かせないと感じます。
またコンテンツを作る時は、長く活用できること、耐久性を念頭に置いています。Webコンテンツだからこそ、アーカイブの側面は大切にしていきたいです。
戸所:私は、基本的には社内での出来事はすべてコンテンツになると考えています。同じ企業の社員同士でも、部署やチームが違うと知らないことは意外と多いですから。それを「どういう切り口で伝えるか」に細心の注意を払っています。

戸所:具体的には、企業サイトの情報・リリースやIR資料などで出す経営情報だけでは伝えきれていない裏側のストーリーやドキュメンタリー、はみ出している部分を届けることを意識しています。そういった隙間を埋めるコンテンツは、社外にとっても興味をもっていただける情報になり得るのではないでしょうか。
平山:メディアが自走できるかは、社内協力をいかに得られるかにかかっていると考えます。コンテンツを出して終わりではなく、どう次につなげるかまで想定しなければなりません。
平尾:そのため、社内の色々な部門から情報収集を行えるよう、定例で情報の吸い上げスキームなどを作っています。このような旬なネタを発信できる仕組み作りもポイントだと思います。