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再燃!BtoC のコンテンツマーケティング

LTVを約3倍に向上させたオウンドメディア ファンケルに学ぶデータドリブンな運営の秘訣

データ分析の極意は“仮説”と“データの見極め”

——ファンケルでは2022年の春頃から、全社的にデータドリブンな経営に方針を転換したとうかがいました。FANCL CLIPでは、データをどのように収集・活用しているのですか。

 

 現在は、アンケート内容やお客様のサイト訪問時の行動をデータ化し、分析を行っています。その際には、仮説と課題を明確した上でデータ収集を行うことが重要だと考えています。これらが明確になっていないと、たとえデータを収集してもただの自己満足です。データによって明らかにしたい仮説と、その後の実行プランを常に持っておくべきですね。

 また、使って良いデータであるかどうかの見極めも大事にしています。データによっては、同じデータを見ているのに、部署によって出される答えが大きく変わってしまうことがあります。こういったデータ活用の罠に陥る可能性があることをチーム全体が意識して動く必要があると考えています。

——オウンドメディア運営にあたってのKPIはどのように立てていますか?

 具体的には、記事のPV数、訪問回数、回遊率を見ています。2022年度はすべてで前年度よりも数値を伸長させることができました。

 2023年度は、これらのKPIに加えて、情報展開の頻度の向上・UI改善・パーソナライズの促進に注力をし、お客様とのつながり強化を図っています

データで媒体の価値を可視化し、他部署との連携を強化

——運営していて得られた成果をお聞かせください。

 ここまでの運用で、FANCL CLIPを経由したお客様はそうでない方と比較してLTVが2~3倍に向上することがわかっています。これは、コンテンツを通して商品開発の裏側などファンケルに関する様々な情報を見るため、ブランドへの愛着が湧いてロイヤルティが上がることが要因だと考えています。

 LTVの向上を示せるようになったことで、全社的にもFANCL CLIPとの連動の重要性を認識してもらえるようになりました。今では、他部署も「どう連携するか」を考えてくれるようになっています。

 たとえば、店舗スタッフが考案してくれた、来店したお客様に対しての企画が例として挙がります。店舗に来店されるお客様はアプリ登録率が8割近くありますが、アプリからのFANCL CLIPの閲覧者はアプリ登録者の2割ほどで、通販サイトからの遷移率と比べても低いことが問題としてありました。

 店舗に来店される方は会員証としてアプリを利用することが多く、アプリが情報サイトへの入り口として認識されていなかったことが要因だと見ています。店舗では来店した方々にFANCL CLIPを見ていただけるよう店舗でお渡しするリーフレットの中に記事の一部を掲載し、遷移を促してもらっています。

【クリックすると拡大します】
店頭で配布しているリーフレットの一部

——オウンドメディア運営において、社内からの評価は重要になってくると思います。FANCL CLIPはどのようにして社内でのプレゼンスを高めていったのかお聞かせください。

 FANCL CLIPの開設当初は作った記事の評価基準がPV数でしか測れませんでした。しかし、全社的なデータドリブンへの転換にともない、FANCL CLIPと他媒体の関係性や、それぞれの記事をどういった層の人が読んでいるのか、毎月どう変化しているかをデータで見られるようになりました。

 そうして、先述したLTVの差が大きいというデータが見えてくるようになりました。PVだと媒体に関わっている人以外にはあまり関係がない数字になってしまいますが、LTVが向上するとなれば他の部署の方々にとっても目に見えてメリットを理解していただけます。こうして現在では、FANCL CLIPがあらゆる媒体へのハブとして重要な存在だと全社的に認識してもらっています。

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ファンを醸成するコンテンツの作り方

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/02/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/44406

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