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MarkeZine Day 2023 Retail

常識を覆したパーソナル食洗機SOLOTA パナソニックが語るヒットの裏側

【推しの子】アイを起用 人気コンテンツとのタイアップでメッセージを確実に届ける

 もう1つの柱である、「インパクトと話題性を活用した消費者への認知拡大を目的とした、【推しの子】とのタイアップ」についてはどうか。

 山本氏によると、日々3万以上とも言われる多量なデジタルメッセージを受け取るターゲット世代には、メッセージを伝える広告だけでは頭に留まりにくい。そこで、話題性とインパクトをフルに活用した認知拡大・啓発戦略として実施した。また、興味を持ってもらった視聴者への受け皿として、【推しの子】とSOLOTAのタイアップスペシャルサイトを準備したという。このスペシャルサイトも文字量を減らし、直感的・情緒的に商品を理解してもらうために担当者がSOLOTAをアイちゃんにプレゼンする動画や、アイちゃんによるSOLOTAの紹介動画を掲載した。広告施策は1本目と同じくX、Instagram、YouTubeのほか、Spotifyなどで音声広告を展開し、通勤時間帯、夕食後にSNSを見る時間帯など隙間の時間帯にも接触するように細かく配信していった。

 また、【推しの子】のアニメ放送が同年4月にスタートする予定だったため、製品発売時期となる2月上旬からタイアップ情報を一般公開し、アニメ放送スタートまで段階的・継続的にタイアップ動画を公開していった。3月下旬に全国の映画館でアニメ初回放送の90分拡大版が先行上映された際には、商品紹介動画を放映し、【推しの子】ファンへ認知を徹底。これにより映画館でのべ約6万人の【推しの子】ファンへの接触を実現。コラボレーションについて分析するYouTuberも登場して大きな話題になったという。

 さらに同社は、単にSOLOTAを“売る”だけでなく、これまで検討の余地もなかった未知の家電を“試してもうら”ために月額1290円(税込)のサブスクリプションサービスもスタート。これも多くの反響が寄せられているそうだ。

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タイアップ効果でターゲット層の認知が増大、食洗機市場を活性化

 このタイアップでは、スペシャルサイトは約23万PVを記録、【推しの子】の主人公・星野アイがSOLOTAを紹介する動画は約4ヵ月で約2,000万回再生と大好評だった。食洗機の啓発とともに、SOLOTAのマーケティング施策は大きな成果をもたらした。

 4月に【推しの子】のアニメ本放送がスタートすると、スペシャルサイトから直販/サブスクのサイト「Panasonic Store Plus」への流入数が爆発的に向上。また広告視聴・認知度を調査したところ、コアターゲットであるZ世代の男女共に「見た」と回答した数が多く、同じ調査をした40〜49歳の女性に比べると最大8倍近くの差があった。動画広告の接触者については、接触していない層と比べ認知度は約5倍、興味喚起は約2倍、利用意向は約1.8倍の差があり、「非常にリフトしており、効果はあったと考えています」と話す(山本氏)。

 またリアル接点のマーケティング施策として、タンブラーやマイボトルなどを提供する「サーモス」の直営店店舗や最新ガジェットを体験できるb8taの渋谷店にも実機を展示。ターゲット層である若年単身者の動線上で実物を訴求している。

 こうした施策が功を奏し、リリース直後から継続的にWeb、テレビ番組や新聞、雑誌などもSOLOTAを取り上げるようになり、SOLOTAユーザーによるXの投稿件数も増えていった。SOLOTAを紹介するサイトのセッション数、PV数アップが、食洗機全体のPV向上にも貢献。SOLOTAの増販だけい留まらず、食洗機のある生活の啓発にも貢献していると社内評価しているという。

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 こうした成果や反響に手応えを感じつつも、山本氏は「”食洗機を当たり前に使うくらし”の第一歩を踏み出すきっかけとなる製品をお届けしたに過ぎません」と気を引き締める。「食洗機がお客様一人ひとりの生活必需品で、生涯のパートナーとして進化するために、製品開発はもちろん、マーケティング施策も進化させながら、今後も努力し続けていきます」と語り、講演を終えた。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/02/29 07:00 https://markezine.jp/article/detail/44432

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