今まで以上に健康関連ワードが飛び交うように
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、生活者の健康への関心は以前よりも増しているのではないでしょうか。今まではあまり見られなかった睡眠や免疫などの健康ワードが、メディアやSNSで盛んに発信されています。最近では「整腸」や「腸活」といったワードをよく目にしたり耳にしたりするのではないでしょうか。「整腸」というとヨーグルトや一般用医薬品の整腸薬、乳酸菌のサプリメントをイメージする方も多いと思います。しかしながら乳製品やサプリ、整腸薬に限らず機能性表示食品を中心に様々なカテゴリーから整腸機能をうたった製品が上市されています。
メディアでの紹介をきっかけに伸長した“整腸薬”
下記は整腸機能をうたった機能性表示食品や特定保健食品(ヘルスクレームのある場合、先頭に「整腸」が来る製品群。2023年11月弊社商品マスター登録商品に限る)、健康食品の乳酸菌・ビフィズス菌成分に該当する製品、整腸薬をそれぞれのカテゴリー別にSRI+(※1/※2)データをもとに金額水準値(※3)を示したグラフです。
整腸関連市場の中では、整腸薬の販売水準が2022年10月~2023年9月(累計)時期に増加していることがわかります(図表1)。好調要因の1つに、YouTubeやテレビで整腸薬の特集や関連する腸内細菌をテーマにしたコンテンツが放映されたことが挙げられます。市場拡大のきっかけとなったYouTubeコンテンツは2022年10月、テレビの特集は2023年1月でSRI+データの伸長状況ともリンクしています(図表2)。一方で当初は短期的な伸長であると思われましたが、その後も高水準を維持し伸長が続いています。一部の製品で値上げの影響も伸長理由の1つです。
メディアの影響で一時的に購入者が増加すること(いわゆるバズり)は珍しくありませんが、一気に増加した市場がそのまま維持している要因は何なのでしょうか。好調要因を購入者視点で見ていきたいと思います。
※1 インテージSRI+®全国小売店パネル調査)
国内小売店パネルNo.1(※2022年4月現在)のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※2 インバウンド傾向の高い特殊店舗を除いてデータを作成しております。
※3 販売金額水準値:年間(2018年10月-2019年9月の販売金額を100とし、各期間の販売金額を指数化)
好調要因はカテゴリー新規購入者の定着か
市場の好調要因について、「購入者の増加(買う人が増えたのか)」「購入者あたり金額の増加(買った人あたりの支出額が増えたのか)」を購買データ(SCI)(※4)を使って確認しています。2022年10月-2023年9月の期間においては、購入率前年比112%・購入者あたり金額前年比110%と、購入率も購入者あたりの金額も増加しています。好調要因の1つとして“今まで整腸薬を購入したことのなかった人”が新たに市場にエントリーし、その後も定着(買い続けている)していることが仮説として考えられます。では実際はどうなのでしょうか。
整腸薬の伸長前を「前期(2021年10月-2022年9月)」、伸長後を「当期(2022年10月-2023年9月」と定義して、下記のように購入者分類してみました。
・カテゴリー新規購入者:当期に整腸薬を購入しているが前期に整腸薬を購入していない人
・カテゴリー継続購入者:当期も前期も整腸薬を購入している人
さらに、当期の購入回数で「1回のみ」「2回以上」で分類します。
1年前の購入者も同じ定義で分類し比較したところ、「カテゴリー新規購入者かつ当期2回以上購入者」の人数構成比の増加が見られました(図表3)。
また購入者あたり金額を見ると、すべての区分で1年前から購入金額が増加しています(図表4)。では、「整腸薬を新規で購入しリピートしている人」はどのような人なのでしょうか。
※4 インテージSCI®(全国個人消費者パネル調査)
全国15歳〜79歳の男女53,600人のパネルモニターによる食品(生鮮・惣菜・弁当などを除く)・飲料・日用雑貨品・医薬品に関する消費者市場動向のトラッキングサービスです。
このデータからは、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「いくらで買った」のかがわかります。消費者の顔を詳細に捉え、消費者を起点としたブランドマーケティングや店頭マーケティングにご活用いただけます。