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先進的なCRMを実践する事例大全

ROIが前年同月比600%超に @cosmeに学ぶスモールスタートなCRM


ROIが前年同月比600%超に 細かなフェーズで切り分けて伸ばす

━━@cosmeは非常に多くの方に受け入れられていますが、改めてどういった仕組みで顧客との接点を深めているのか、教えていただけますでしょうか。

 ユーザー様のフェーズに合わせてコミュニケーションを変えています。先述の通り、まず検索流入の受け口としてWebがあるため、そこでアプリのインストールをおすすめし、インストールしていただいたら初回のクーポンやポイント付与といったオンボーディング施策を行います。その後の施策についてはユーザー様がアプリで初めて行ったことによって分岐します。たとえば、ライク、コメントといったアクションごとにコミュニケーションを変えているんです。購入、また再購入といった場面でも変えていきます。

 グロース推進部としてはこれら各施策のPDCAを回しながら最適化を進めているのですが、最近ではアプリインストール時といった入り口のフェーズについてもより深く考えるようになりました。

画像を説明するテキストなくても可
店舗で掲示されているアプリへの案内の一例。レジに並ぶ際には足元でも案内(写真右)

 インストールをしたきっかけが、店舗の案内だった方と、お家などで見たWeb上の案内だった方では、アプリに対する期待度やその後の使い方が異なってくるためです。たとえば、店舗でお伝えしている「インストールしたら300円OFF」といった案内からインストールした方にはポイントカードとして利用している方が多いです。オーガニック検索でインストールした方は口コミやランキング、新作コスメの情報を見るメディアとして利用している傾向にあります。

 今はまだ設計段階ではありますが、今後は出会った場所やタイミングによって、その使い方やモチベーションに合わせたコミュニケーションも行いたいと考えています。

――これらのサービスからどのような成果が出ていますか?

 ECと店舗の売上をベースにしたROIが、前年同月比で600%を超え、アプリの月間インストール数も240%になりました(2023年9月時点)。また、アプリをインストールしてから1ヵ月後のリテンション率も前年比で114%になっています。

 小さな施策の積み上げではあったものの、それが大きなインパクトにつながってきていますね。

主体的に動けるマーケターを増やす きっかけはたった3人で始めたプロジェクト

━━これだけの成果になった理由をどのように考えていますか?

 施策の打率が伸びたのは、先述したCRMタスクフォースの前身となった、社内プロジェクトを立ち上げたことが大きな要因になっていると思います。

 効果検証やセグメントの最適化のためにツールは導入したものの、使い始めた頃は私と新卒二人の3人だけが触っている状況でした。そこで、使いこなせる人を増やそうとプロジェクトを立ち上げたんです。1年で他部署も含め20名ほどのマーケターが参加するプロジェクトになり、それぞれ施策を持ち寄って相談しながら、最適化を進めてきました。

━━部署を横断してメンバーを募ったのにはどのような意図がありましたか?

 そもそも私たちグロース推進部は、全員がプロジェクトに参加していました。ですが、それだけだと部署内にテクニックや知識が溜まってしまい、他部署のメンバーは主体性を持って施策を動かせなくなってしまいます。そうならないために、店舗運営の部署やECの部署のメンバーに声をかけました

 当初は少ないメンバーでしたが、効果が出始めてきたウワサが社内で徐々に広まり、社内のマーケターが集まる協力体制ができました。

━━CRMは、他の施策と比べてと比べて、「効果がすぐに出づらい」「投資対効果が見えにくい」などといわれることが少なくありませんが、アイスタイルではどのような指標を設定していますか?

 主にCRMタスクフォースでは、ユーザー様全体のMAU数やアクション率を追っており、グロース推進部ではユーザー様のフェーズで切り分けた場合の数値も追っています。これにより、全体として成長できているのか、フェーズごとに狙いの違う一つひとつの施策が実際に効いていたのか、その両軸を見るようにしています。

━━現在の指標や体制の在り方を見つけるうえで、どのようなアクションが必要でしたか?

 これまで実際にデータ分析に基づいたCRMを経験してみて、最も重要だと感じるのはスモールスタートであることです。

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小さな成果をヒントに大枠を組み上げる スモールスタートが鍵に

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/28 12:38 https://markezine.jp/article/detail/44672

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