「提供してもよい・したくない」データの種類による違いは?
基本的にどのデータも提供したくはないと思っていることがわかりますが、「スマホアプリの利用状況」と「ウェブ上の特定広告の表示有無」については「提供してもよい計」と「提供したくない計」がほぼ同率で拮抗しています。「商品などの購入履歴」や「身長・体重」、「インタビュー結果」や「アンケート結果」に至っては、提供してもよいと考える人のほうが、提供したくない人の数を上回りました【図4】。

「インタビュー」や「アンケート」といった意識データは、自ら能動的にデータを提供し、ポイント獲得の特典もあることから拒否感は低かったようです(本アンケート対象がマクロミルモニタであるため、スコアが高めに出ていることも考えられます)。
「身長・体重」は、データを提供することで自分にとって最適な衣服がレコメンドされるというメリットが想像しやすかったのかもしれません。「商品の購入履歴」や「広告接触」といった行動データも、それによるマーケティング最適化等による自身へのメリットを期待しているのかもしれません。
データの利用目的による違いは?
データの利用目的ごとの不安を見てみると、生活者は一般的なコンテンツやマーケティングなどの利用目的のうち、統計的に処理されず、個人やデバイスを識別した状態でのパーソナルデータの提供には抵抗があることが再認識できました。
不安に感じる順番では、「第三者へのデータ販売」の73.6%がトップで、続いて「ターゲティングメールの配信」47.2%、「顧客分析(個人単位での分析)」44.0%、「コンテンツ表示のパーソナライズ」42.1%となり、主にデータビジネスやCRM/MAのような使われ方に対する不安が大きいことが示唆されました【図5】。

パーソナルデータの利用目的ごとに、活用されることへの意向を尋ねました。
「統計分析」は、「活用されてもよい」が38.0%で「活用されたくない」を10ポイントほど上回りましたが、それ以外の項目については「活用されたくない」のほうが軒並み高く、最も拒否感が強かったのは「第三者へのデータ販売」の68.2%で、続いて「ターゲティングメールの配信」が44.9%、「顧客分析」が40.4%という結果になりました。
なお、「活用されてもよい」「やや活用されてもよい」を1つも選択しなかった人が42.7%も存在しました。データ活用に厳しい視線を送っているのは、一部の先鋭的な生活者だけでないことを気に留めておかないといけないでしょう。
一方で、「コンテンツ表示の最適化」と「AIの学習」でデータを「活用されてもよい」と回答した人は31~32%で、「活用されたくない」も相対的に少なく、是非がほぼ同率でした。データを提供される側のメリットだけでなく、生活者自身のメリット(ユーザー価値)につながりやすい活用目的に対する許容性は一定あると言えるでしょう。
昨年、生成AIの勃興と同時にアジェンダ化された「AI学習」については、先ほどの「不安に感じない」が23.7%で、「活用されてもよい」は30.7%と、それぞれ相対的に高いスコアでした。精緻に解釈するには、AI学習のより明確な活用目的(学習したAIが何をするのか?)を含めて調査をする必要がありますが、「AI自体」への拒否感はあまり感じられませんでした。
