クリエイティブコモンズの使いにくさを改良した「ニコニコモンズ」
周辺的な発表が2つ続いたが、いよいよニコニコ動画(夏)としての新機能・新サービスの発表。まずはMAD動画などを作りたいときに自由に利用できる素材庫をニコニコ内で用意しようという構想で、これは「ニコニコモンズ」というライセンスとセットになっている。
名前から分かるようにレッシグ教授の提唱する「クリエイティブコモンズ(CC)」を意識していることは間違いないだろうが、CCやGPLだと作ったひと自身が後になって利用条件を変えられなかったりするので、ニコニコモンズは「やっぱりやーめた」ができる規約にしようと考えられた。コンセプトは「公式黙認」。

夏野氏自身が「世界に出て行けるコンテンツはここにしかない」と語ったように、MAD動画は日本を代表するクリエイティビティであり、優れた文化として支援していこうという考えが随所に見られた。一方で、企業としてのコンプライアンスを問われれば、権利者からのMAD削除要求には応えていかざるをえず、運営には忸怩たるものがあるのだろう。そのクリーンな形で解決策がニコニコモンズによる自前の素材庫というわけだ。
自由に利用できる素材庫やフリーライセンスというコンセプトは今までにも数多くあるが、海外発のものはいまひとつ日本人の身の丈に会わないところがあった。そういう舶来品をアレンジして、うまく日本向けに提供しようとしているサービスだと言えるだろう。ニコニコ動画内部に閉じた利用だけではなく、外部APIを提供するとのこと(素材を公開する際に範囲としてニコ動の内外を選べる)。現在すでにpixivでも対応予定。
サマーニコス、ニコ割アンケート、ニコニコミュニティ
ニコスクリプトの新機能も発表された。「@BGM」に見られるように動画作成の敷居をさげ、より多くのひとに動画をアップしてもらおうという意識が徹底している。

続いて「ニコ割」を利用してリアルタイムのアンケートを取る機能。

ネットをいちばん利用しているユーザーの声を集約して、「青少年にケータイ持たせるなとか言ってるアホな首相」(夏野氏)がいるような日本の世論に問うことができる。その場で割り込んで質問するため、組織票ができない仕組みになっているところがおもしろい。
続いて、大会翌日にオープンした動画コミュニティ機能。プライベートな動画などを仲間内だけで見せることができる。
プレミアム会員だけがコミュニティを新規につくって管理でき、コミュニティ内のプレミアム会員数に応じて投稿可能な動画数などがレベルアップするというプレミアム会員オリエンテッドな仕組み。一般会員の接続制限が少なくなってプレミアム会員の利点が減ってきたなか、プレミアム会員に「ここで一気に恩返し」という。
