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MarkeZine Day 2024 Spring

SUBARUが実現した、顧客データの統合と活用 テレビCMやイベントなど実際の施策まで解説!

紙で取っていたリード情報をデータ化し、イベントを定量的に評価

 他の車メーカーと比べて店舗数が少ないSUBARUは、試乗会イベントなどを通じて顧客が車に触れる機会作りに注力している。一方で、イベント会場でディーラーが集めた紙のアンケートから得たリード情報をうまく活用できていなかったという課題も存在していた。

 これまで紙のアンケートを手作業で集計しリストを作っていたが、過去データの蓄積がなく優先順位がわからなかった。その上メーカー側は顧客情報を得られず、イベントの効果を見積もりや成約数で定量的に評価することができないでいた。

 そこで、顧客に2次元コードから必要な情報を入力してもらう形でアンケートのデータ化に取り組んだ。これにより集計が自動化され、メーカー側も情報を得られるように。データ化によりイベント後の行動ログを取ることができるため、顧客の見込み度を設定し、イベント後に頻繁にWebサイトを閲覧している人から優先的にアプローチする形を取った。

 その後の成約まで追うことができるため、成約につながった要因を評価することも可能だ。結果、過去の購買データからリードを集めた時に、購買した顧客に近い行動をしている人が見えるようになったという。実際に見込み度最高ランクのAをつけた顧客のうち72.7%が成約に至ったといい、「アプローチする順番を変えただけだが、購入確率が高そうだと思えば従業員の働くモチベーションにもつながる」と安室氏は語った。

CMの思い切った方向転換で成果につなげた、ブランドイメージ向上策

 セッションで安室氏は、SUBARUの顧客理解とブランドイメージ向上の取り組みも紹介した。9segs(※)を活用したブランドイメージ調査を行ったところ、ブランド選好の積極・消極層の間に明らかな差があることが判明した。

※9segs:市場全体の顧客を9つのセグメントにわけて分析する、顧客起点マーケティングのフレームワーク

 積極層がSUBARUを評価する理由として挙げたのは「安全性」に関連したものが多い一方、消極層はSUBARUの安全性能に関するイメージを持っていなかった。男性からは「速くてかっこいい」との評価が多いSUBARUだが、女性には極端にいえば「走り屋が乗っていて、子供ができてから乗る車ではない」というイメージを持たれていた。

 3つのカメラとレーダーが障害物を認識してブレーキ制御を自動で行う「アイサイト」を搭載するSUBARU車は、追突時事故発生率が0.06%に減少。死亡・重傷事故件数も国内のカーメーカーの平均を大きく下回る。しかし実際は、SUBARU車の安全性の高さが伝わっていなかったのだ。

 そこでSUBARUでは、安全なブランドイメージの浸透を図るべく、2023年の4月から安全性の高さに集中したCMでのアプローチを開始。「SUBARUが安全だと認識している方ほど次も買いたいとの評価をいただいているため、新規獲得にもリテンションにも効く施策だと考えた」と安室氏は話した。

 子供を守りたい母親の目線で作った「インプレッサ」の新CMは、2023年4月の「ノバセル トレンド Free」のデータによると、全業界の中でCMの指名検索スコア3位となった。公式Webサイトも改善し、車に詳しくなくても理解しやすいよう動画を活用。動画を埋め込んだページの閲覧数は多く、直帰率が40%から27%に減り、ページ最下部到達率も15%から39%に伸びた。

 「お客様を一番理解しているのは現場のセールス」という安室氏は、現場へのヒアリングも欠かさない。そこから得た気づきを生かして、積雪エリアに限ったCMなどの施策に活かし、検索数の上昇につながった事例も生まれた。

 安室氏は「結果が見えることで、社内が自発的にお客様志向に変わってきた。戦略の立案から実行につなげられることが、データ活用の一番のメリットです」とセッションを締めくくった。

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この記事の著者

佐々木 もも(ササキ モモ)

 早稲田大学卒業後、全国紙で約8年記者を経験。地方支局で警察や行政を取材し、経済部では観光や流通業界などを担当した。現在は企業のオウンドメディアの記事企画や広報に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45175

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