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アドビのマーケターに聞く、マーケターが直面しがちな3つの壁とは

「パーソナライゼーション」を加速させるためには?デジタルマーケターが取り組むべき「収益貢献への壁」

 コロナ禍で、日本企業のマーケティングのデジタル化は大きく進みました。しかし、現場のマーケターの抱えている課題はまだ多く存在します。本連載では、マーケターのリアルな悩みから見えてくる「壁」を3つ取り上げ、どのように克服できるのか、それぞれの解決方法をアドビ社員が事例を交えて紹介していきます。第三回となる今回は、「収益貢献への壁」について解説します。

企業収益増大の鍵を握る「パーソナライゼーション」

 「デジタルマーケティングはどうやって収益に貢献するのか」という「収益貢献への壁」。マーケターの皆さんが感じている悩みは、そこに帰結するのではないでしょうか。

 この「収益貢献への壁」を打破するためには、パーソナライゼーションが鍵となっています。パーソナライゼーションを通じて、お客様とのコミュニケーションの質を高め、信頼を築くことで、売り上げという成果に結び付けていく必要がある訳です。

 マッキンゼーの調査結果によれば、消費者の71%がブランドとのエンゲージメントの高まりにおいて、パーソナライズ体験が提供されることを期待しているとのこと。さらに顧客のニーズの多様化により、準備するコンテンツの量とデジタルに組み込む量が飛躍的に増加。その結果、パーソナライゼーションの難易度が高まる傾向にあります。アドビが2024年3月に公開したAdobe CSC Global Researchによると、2024年末までに企業が必要とするコンテンツの量は現在の5倍以上ともなるという予測もあります。

 これはマーケターにとって、見なければならないデータの種類と量が増えることでもあります。実際、各企業の現場もコンテンツ周りの業務に忙殺されていて「状況を改善するためにはマーケティングテクノロジーの理解や導入が欠かせないと実感している」と耳にすることも増えてきました。したがってマーケティングテクノロジーを活用したコンテンツ配信のPDCAサイクルを回さざるを得なくなっています。

 こうした環境下であっても、昨今注目されている生成AIの活用が進めば、クリエイターのリソースの制約がなくなり、デジタルアセット(資産)を簡単かつ大量に作成できるようになるでしょう。しかし、単にAIを活用し大量のコンテンツを作ればいいわけではありません。PDCAサイクル、つまりデジタル体験構築のライフサイクルを今以上に高速で回すことに取り組む必要が出てきています。

AI時代のデジタル体験構築のライフサイクル(出典:アドビ)
AI時代のデジタル体験構築のライフサイクル(出典:アドビ)

オペレーションの高速化を支える新しい役割、MOpsとは?

 デジタル体験構築のライフサイクルを円滑に進める上で、注目されている新しい役割があります。それがMOps(Marketing Operations)です。

 MOpsとは、マーケティングとIT部門などを横断し、人材・業務プロセス・テクノロジーなど様々なデータなどを横断的に統括して効果的な販売促進を担う組織を指します。2021年にDimentional Researchが米国で行った調査によると、回答者の約7割がMOpsの専任チームを置いていると回答しています。

 様々なマーケティングテクノロジーを理解し、使いこなしながら、プロセスの改善をコントロールするMOps。MOpsは、10年以上前に北米で誕生した新しい役割で、その需要は年々高まっています。実際、北米ではMOpsの報酬は営業やインサイドセールスと連携して動く、フィールドマーケターよりも高い傾向にあるようです。

 では、MOpsとフィールドマーケティングの違いは、どこにあるのでしょうか。

 フィールドマーケティングの仕事は、広告・Webサイト・メール・セミナー・展示会など、色々なチャネルからコンテンツをお客様に届けることです。つまりリード獲得に向けて、マーケティングキャンペーンを実行していく役割を担っています。これに対しMOpsの仕事は、多くのマーケティングテクノロジーを組み合わせ、自社のビジネスプロセスにマッチしたプラットフォーム(基盤)を整備し、その環境を常に最適な形で運用することにあります。

 MOpsで活躍するためには、マーケティングテクノロジーに明るいことが必要に思えるかもしれません。しかし、それよりも重要なことは「お客様に何をどのチャネルで届けるのか」に関する理解です。したがって、マーケティングの現場やお客様のことをよく知る人がMOpsに転身することが理想的ですし、成果を出せることでしょう。

 日本ではまだ浸透していないMOpsには、マーケティング知識が欠かせません。現時点ではIT系の会社で営業経験のある人、あるいは事業会社で情シスの仕事をしていた人を中心に、マーケティングを勉強しながらMOpsになるケースが徐々に増えてきた印象です。

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この記事の著者

松井 真理子(マツイ マリコ)

アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 フィールドマーケティングマネージャー

 BtoB マーケティング一筋で20年ほど従事。2013年にマーケティングオートメーション(MA)と出会い、施策の最適化を積み重ねることでBtoBマーケティングの重要性と影響力を示す。2020年3月よりアドビ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/06 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45221

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