TikTokでバズる仕組みとは?
TikTokの「バズる仕組み」は、「動画評価」と「おすすめ表示」のループで起こる。
すべてのプラットフォームは共通して、長くそのプラットフォームに滞在してもらうことをユーザーに求めている。TikTokは現時点においてアルゴリズムの力が強く、エンゲージメントの高い動画を良質なコンテンツとし、高く評価するアルゴリズムとなっている。
高評価の指標は、フル視聴、視聴時間、いいね率、コメント率など。これらが高いと「おすすめ」に載る。再度視聴で評価されると、おすすめに載り続ける。このループに入ると「バズった」状態になるのだ。
「最後まで長く見られる良いコンテンツを作ればバズるのが、TikTokのアルゴリズムです」(中矢氏)

こうした「バズ」に意味はあるのだろうか。中矢氏は「絶対に言えることは、まず届かないと意味がない」と話す。
「企業が伝えたいことを最大限に詰め込んだCMは、まるで“会っていきなり告白する”ようなものです。“広告を見ない”ために課金するのがZ世代です。“見られないもの”を作っても誰にも届かず価値がありません。“見たくないもの”なら、嫌がられてゼロどころかマイナスの効果になってしまいます。だからこそ、まず見たくなるものを作ることがスタートです。そこから、“何を見せられるか”“何を届けられるか”を考えていくのが適切な流れとなります」(中矢氏)

ではフォロワーが増えたら、実際に商品は売れるのか。これについて「TikTokに限らず、これだけで絶対売れる手段はありません。TikTokで得たフォロワーを、自社に合った導線で誘導することを考えながら設計することが必須です。ではTikTokは何に使うのかというと、リーチです」と中矢氏は説明。このリーチの間口を大きくとることにTikTokでは注力し、その後適切な導線を組んでいくことが企業に求められてくるのだ。
企業プロモーションがバズるためには「メッセージの通訳者」が必要
バスを生み出すためのコンテンツを制作するために必要なのは、「企業が出したいメッセージ」と「コンテンツの面白さ」の架け橋となる、メッセージの通訳者が必要だ。
世代間ギャップは言葉に表れる。たとえばZ世代は「エモい」を日常的に使うが、少し上の世代は「ヤバい」を使う。しかし、高齢者世代で「ヤバい」を使う人は見ない。
「本当の意味でZ世代に届けたいときに、Z世代が面白いと思うものを感覚的にわかるかどうかが重要です。わからないと思う人は、理解している人に通訳を頼むといいでしょう」(中矢氏)
通訳者はクリエイターであることが多いが、ありがちな課題が「企業側の視点に寄るとおもしろくない、クリエイター側に寄ると企業の伝えたいことが伝わらない」ことだ。しかし、企業理解については、やはり企業の方々が絶対有利だ。「それぞれが役割を認識し、面白さと伝えるべきメッセージのバランスをとれるように、議論しながら進めることが大事だ」と、中矢氏はいう。

TikTokは、知らせる力や届ける力に圧倒的な強みをもつ訳だが、GOKKOでは「令和のマス広告」と呼んでいるという。
しかも今注目されている「ショートドラマ」はフル視聴率が高い。そしてエンタメ性の高いコンテンツ配信なので、広告配信期間などを気にせず、時間がたっても再生され続け、リーチし続けることも特徴だ。

情報爆発ともいわれる現代において、プロモーションに多額の予算を使って一気に山を作っても、認知後は下がり、数週間後には忘れられてしまう。だからこそ、継続的発信によるファンづくりが必要だ。
まずはコンテンツに興味を持ってもらい、アカウント好きになってもらう。それをフォローにつなげ、最終的に企業・ブランドのファンになってもらう。このステップを踏むことでサービスの利用意向の高い顧客を醸成していくことが重要なのだ。