切磋琢磨し、布製ランドセルを選びやすい世界へ
川合:最近では布ランドセルを出すメーカーも増えてきました。競合分析などもされますか?
佐野:ほとんどしません。お客様のほうを向いて自社製品を改良することが大事だと考えています。また、競合が増えることも悪いことではないと捉えています。布製ランドセルを作るメーカーが現在、31社まで増えています。布製ランドセルの認知度が上がり、使用者が増えれば選ぶハードルが低くなり、子どもたちの体の負担は減ります。あとはもう切磋琢磨するだけです。

商品で文化を「風景」から変えていく
川合:今後フットマーク様として挑戦していきたいことがあれば教えてください。
佐野:私たちは、子どもたちが健やかに学校生活を送るための商品を作ることが使命だと考えています。当社の布製カバンが、子どもたちの登校風景を少しずつ変えていければと思っています。
次の新たな挑戦として、夏の過酷な登下校中に熱中症から子どもの体を守る「遮熱通学帽子」を発表しました。この帽子は前後にある換気孔からの通気で透湿性が高く、従来の黄色い通学帽子に比べて帽子内の温度上昇を4℃抑制できます。横浜国立大学の薩本教授と構造を協議し、理論の裏付けをとって3年以上かけて開発しました。薩本教授が国際学会でも発表されるなど、通学帽子としては新しいアプローチができたと感じています。
私たちは、子どもたちの悩みを「モノ」で解決することができます。商品を通じて学校や社会に問題提起し、対策を考える契機となり、新しい文化を作っていきたいと考えています。特に子どもは「苦しい」、「辛い」などをうまく言葉にできません。大人が気づいて、大切な命を守っていきたいですね。
川合:「風景から変えてく」のは素敵ですね。今後もいろいろな展開が楽しみです。本日はありがとうございました。