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形のないものにどう価値をつける?JTBと損保ジャパンから学ぶ“7P”を活用した戦略立案

ターゲットの年齢層に合わせたキャラクターと広告施策

 Physical Evidenceとして関口氏が挙げたのは、アイコンとなるキャラクターを使った販促や広告施策だ。ビジネスマスター・プラスのメインターゲットは、40代~60代の男性。その年齢層の顧客によるイメージのしやすさを意識し、これまでにプロレスラー、スーパーヒーローのキャラクターを作成したという。

 そして、各エリアの保険代理店と相談しながら、作成したキャラクターを地域に合わせてポスター掲出、バスのラッピングや新聞広告、OOHなどと様々な方法で露出し、世界観を作り出した。

 Processの取り組みとしては、販売方法の改善について説明した。

「保険は多くの方にとって面倒なもので、『できるだけ考えたくない』と思っている方が多いです。そこで、代理店の方々に対して顧客属性に分けた提案動画の提供をし、進捗管理まで細かく行いました。このように販売方法にメスを入れることで、売上向上につなげることができました」(関口氏)

有形商品の7Pの活用で他社との差別化を

 このように、通常の4P分析に加えて3Pの視点での分析が必要となるのがサービスマーケティングだ。

 なお関口氏は、サービスマーケティングを推進するためには7Pの視点だけでなく、サービス業が持つ四つの特性として「無形性/非有形性」「同時性/不可分性」「異質性/変動性」「消滅性/非貯蔵性」を理解しておくべきだと話す。フィリップ・コトラーの著書『コトラーのプロフェッショナル・サービス・マーケティング』の内容を引用しながら、それぞれ説明した。

 一つ目の無形性/非有形性は、サービス業で提供する商品には形がないということを示す。そのため、サービスの提供を受けていることの実感がしにくいといった特性も見られる。一方で、サービスによっては、施設やWebサイト、アプリなどのように一定の有形性を持つものもあるので、それらを活用して意識的に設計を行うことで良い体験を提供できる。

 二つ目の同時性/不可分性は、提供される商品・サービスの製造・販売・消費がその場で同時に行われるといった性質を表す。加えて、これらは不可分であることも多い。そこで企業には、顧客との共創が求められる。企業が顧客に対して適切に情報提供を行い、企業や商品・サービスへの理解度を深めることで、サービスの製造から消費までの循環がスムーズになる

 三つ目の異質性/変動性では、サービスの質が一定ではないことを示す。介在する人や環境によって質が良くも悪くも大きく変化してしまう。そのため、JTBと損保ジャパンの事例で挙がったようにサービスを行う上での統一された規格を準備することが企業には求められる。

 そして、四つ目の消滅性/非貯蔵性では、サービスは在庫ができないということを表す。顧客が大勢来たからと言って在庫を増やすことはできず、提供できるサービスの量を増減させることができない。そのため企業は、予約機能などにより来訪する顧客の量を調整し適切なサービスを提供することが重要だという。

 これらの特性は、1985年に初版が出た同書で語られたものだ。しかし、現在でもなお原理原則は当てはまることが多いと関口氏は語る。

 最後に関口氏は形のないマーケティングについて次のように述べ、セッションを締めくくった。

「近年、消費者の皆さんは、有形性の商品に対しても無形価値の部分を重視して消費しているといった例は非常に多いと感じています。ブランド、世界観、パーパス、SDGsなどはまさに形のない価値です。従ってこれらの価値を有形商品とかけ合わせて顧客に提供することが重要です。そのために、サービスマーケティング以外でも4P+3Pの7Pを使ってマーケティング戦略を考えていくことが今後差別化にもつながっていくと考えています」(関口氏)

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この記事の著者

土屋 典正(編集部)(ツチヤ ノリマサ)

法政大学法学部を卒業。新卒で人材派遣の会社にて営業職を経験し、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45686

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