創業140周年、商船三井がブランディングを強化する背景
MarkeZine編集部:本日は、商船三井のブランディング施策について伺いたいと思います。はじめに、商船三井の事業概要についてお聞かせください。
園田:商船三井は、海運業を中心に様々な社会インフラ事業を展開している会社で、今年で創業140周年を迎えます。800隻を超える世界最大級の船隊を運航する総合海運企業として、世界の海上輸送の一翼を担っていると自負しております。
ご存知ない方も多いのですが、実は海上輸送は、日本の貿易の99%以上を占めています。陰ながらではありますが、生活者の皆様の暮らしや産業を支えているのが海上輸送です。しかし、事業の特性上、皆様に身近に感じてもらうことが難しいという課題を感じていました。
私たちの想いや目指していることを届けていきたい――このような考えから、近年ブランディング活動にも力を入れています。
BtoBは95%が潜在顧客、認知獲得を筆頭としたブランディングを行う意義
MarkeZine編集部:商船三井がBtoBマーケティングでターゲットとするのは、どのような方になってくるのでしょうか?
園田:我々がブランディングおよびマーケティングでターゲットとしているのは、国内外にいるグローバル企業のマネジメント層です。この方々へのリーチを拡大することで、新しいビジネスチャンスを掴みたいという目的が前提としてあります。
また、当社のブランディング施策はまだスタートラインに近いところにあるため、認知からのCVというよりは、「ターゲット層における認知拡大・理解促進」というアッパーファネルの向上を中心に考えています。
MarkeZine編集部:ターゲット層における認知拡大を図る際、どのような情報・ブランドイメージを伝えるようにしていますか?
園田:ブランディングで入り口としているのは、サステナビリティに関する当社の活動です。環境問題の解決や脱炭素社会の実現に向けて取り組むことは、海運会社である私たちにとっても大切な役割であり、社会の皆様との共通課題でもあります。ブランディング活動では、商船三井グループのサステナブルアクションである「BLUE ACTION MOL」をPRコンセプトとし、メッセージやクリエイティブを展開しています。
こうしたブランディング施策の目的や課題を踏まえ、当社ではLinkedInを活用したブランディング活動をスタートすることにしました。既に、グローバル規模でターゲティングも加味したコミュニケーションを実現できています。
MarkeZine編集部:BtoBマーケティングにおいては、営業や成約に直結する施策を重視する傾向があります。LinkedInのアンダーソンさんは、BtoB企業のブランディング活動の重要性をどのように考えられますか?
アンダーソン: BtoBの購買においては、検討段階に入っている顧客層(In Market)は購買の可能性がある層のうち僅か5%です。一方、まだ検討のステージに入っていないが将来、購買のポテンシャルがある層(Out of Market)は95%と言われています。そのため、BtoB企業は情報発信、特にブランディングが重要でターゲットにアプローチする際は、商船三井様のように、新規顧客を常に想定することが大切だと考えます。