アプリ広告の不透明感を払拭するための3つの取り組み
──UNICORNでは、アプリ広告の不透明感を解決するために、どのような取り組みを行っていますか。
神田:具体的な取り組みは、3点あります。1点目は、アプリ広告の評価に用いられるラストタッチ計測において、ビュースルーコンバージョンがどのくらい直接的な効果につながっているのかを調査するため、内部インクリメンタリティ計測を行っています。
神田:仕組みとしては、広告の中にダミー広告クリエイティブを一部入れ込み、ダミー広告クリエイティブ経由のビュースルーコンバージョンの割合を判定してます。ダミー広告のクリエイティブ経由でコンバージョンが上がる場合、広告を見なくてもインストールするユーザーをカウントしてしまっていると考えらます。そうしたコンバージョンが多いメディアは、広告効果測定が正しく行われていない可能性が高いのです。そうした広告の傾向を特定し、今後のプロモーションの判断材料にしています。
神田:2点目は、我々UNICORNは直接ユーザーが広告を見てクリックをした「クリックスルーコンバージョン」の方がビュースルーコンバージョンに比べ価値が高いと考えているため、クリックスルーコンバージョンに配信を寄せる最適化の機能を提供しています。
場合によりMMPの計測だけではなく、App Store Connectなどのプラットフォーム側のアナリティクスを活用し、本当にインストールへの影響があったか否かを広告主様と確認しながら調整を行っています。
そして3点目は、プライバシーに配慮したモバイル計測プラットフォームの「MetricWorks」です。ラストタッチ計測、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)、その他検証機能などを組み合わせた、新しいモバイル計測プラットフォームです。デバイスIDなどユーザーデータを必要としない上、既存の評価方法よりも高精度な成果判定を可能とし、現在欧米を中心に複数の企業が「MetricWorks」を導入しています。
新しいモバイル計測プラットフォーム「MetricWorks」への期待
──サイバードでは、アプリ広告の計測にどんな課題を感じますか。
松野:媒体の特性やユーザーの動向を理解し、広告配信を行う必要があると考えているため、ビュースルーコンバージョンやクリックスルーコンバージョンの割合は、きちんと把握できる状況にしています。
ゆくゆくは、自分たちで運用を行う広告の割合を高めていくことを目的としています。実は4年ほど前に、弊社独自で広告枠ごとのクリック数やオーガニックによるインストール数が計測にどれほど影響しているのかを可視化することにトライしました。
宮﨑:「広告を見てクリックはしなかったけれど、インストールを行った」そんな副次的な効果もあわせて、広告のクリック数と実際のインストール数の関係を数式にしてみました。その時は実際に数式で表せ、それをもとに全体的な広告のパフォーマンスの把握に成功しました。
宮﨑:さらに、広告ネットワークごとの指標を出すこともチャレンジしました。しかし、十分な期間のデータを取れなかったり、数式を作成する難易度が高かったりするなどの問題があり、実用化はできませんでした。
だからこそ、神田さんから「MetricWorks」のお話をいただいた時には「チャンスが来た!」と思ったのです。副次効果を含めた、個別の広告ネットワークの評価ができるという点に大きな期待を持っています。
松野:自社で導き出した数式では、「広告メニューや媒体に、どのくらいの費用を投下すると効果が生まれる」という大体の目安は見えていました。
ただ非常に労力や時間がかかるので、出稿中の広告運用に活用することは難しかったんです。Webにおける広告運用は、週次や日次で見直しをするので、評価が判明するのが1年後では遅いですから。しかしMetricWorksを活用すれば、すぐに評価ができると期待をしています。