投下量が四分の一でも同じ効果?注視の含有が分かれ道に
MZ:今回の施策を振り返り、テレビCM制作で注視データを活用する意義をどのようにお考えですか。
石橋:そもそもマーケターは、「ブランドや商品理解を深めてもらうため、会社から預かった費用で効率良く展開しなければならない」ことを意識して活動する必要があると考えています。
石橋:注視度の高いクリエイティブを制作できれば、投下量を変更しなかったとしても認知度を上げることができます。
図1の波形を使って経営視点からテレビCMの認知度と投下量の関係を見ると、たとえば認知率で30%を出そうと考えた場合、「注視含有の高い」CMであれば500GRPのところ、「注視含有の低い」CM場合は2,000GRP以上必要なことになります。つまり、良いクリエイティブとそうでないものでは1,500GRPに相当する投資の差が発生することになるわけです。少ない投下量で同じ効果が得られるのであれば、経営視点からも非常に有意義ですよね。これがテレビCMの注視率を効率的に高めることの価値だと考えています。
MZ:施策の支援を通して得られた気付きや知見があれば教えてください。
福島:実は、テレビCMの企画段階から注視データを取り込んで制作を進めることと、その結果をPDCAで確認してフィードバックを行うという取り組みはいままで別のサービスとして展開していました。そのため、今回同じクリエイティブで一気通貫して取り組むというのは当社にとっても初めてで、一大プロジェクトでした。今回の取り組みを経て、テレビCM内でタレントを活かす方法や世界観の構築方法、テレビCMを通して訴求したい内容を視聴者に自分ごと化してもらうための考え方など、注視されるクリエイティブ作りのノウハウを多く得られることができました。
従来では施策実施から成果分析、次回アクションの示唆の段階で注視データの活用を支援してきましたが、これに加えて企画段階から効果的なクリエイティブ作成のコンサルティングが可能になったため、より様々なご要望に対応ができるようになりました。
放送枠選定でも注視データの活用を目指す
MZ:ハイセンスジャパンが今後さらに取り組んでいきたいこと、REVISIOに期待していることをお聞かせください。
石橋:今回、広告代理店のクリエイティブチームからの理解を得ながらPDCAを回し、成果につなげられたことは大きな成果でした。これは、チームとの信頼関係とより良いものを作り出すという目的意識の共有の賜物です。企画開始段階から快くこの取り組みに賛同し協力してくれたクリエイティブチームの皆さん一人ひとりに感謝しています。今後も注視データを活用しながらクリエイティブ制作を行い、今回の成功を横展開していきたいと考えています。
また、今後はクリエイティブ制作に加えて、放送枠の選定についても注視データを活用したいと思います。これにより、少しでも多くの方に見られるテレビCMを作っていきたいです。
MZ:REVISIOとしては今後、どのような価値を提供していきたいとお考えですか。
福島:放送枠に関する知見は当社が持つ強みの一つです。クリエイティブと放送枠の両輪で注視データを活用して価値を最大化することで、CM認知度のカーブの角度をさらに上げることができます。こういった網羅的な支援で今後、ハイセンスジャパン様のテレビ広告をより効果的なものにしていきたいと思います。
今回の事例で実際に活用されたツールをチェック
ハイセンスジャパン様の支援時に、REVISIOでは、テレビCM注視&出稿状況分析ツール「RE.Search」を活用しました。同ツールでは、テレビCMのどのシーンが注視されたのか、毎秒単位で可視化することができます。サービスサイトで詳細をご紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。