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テレビはどう生き残るか~鍵を握る「インプレッション取引」を成功させる仕組みとは~

「インプレッション取引」でテレビ局のスポットCM収入はどう変わるか。総収入試算と仕組みへの課題

スポットCMを「インプレッション取引」するために

  ここまでと、以降の連載内容に向けて整理すると以下のようになります。

  • GRP取引されるテレビCMの平均CPMは335円と非常に廉価である。CTV広告との差は歴然としている。このCPMの差はどこから生まれてきたものなのか? この評価差を埋めないことには、テレビCMとストリーミング(特にCTV広告)との共通在庫化は困難である。テレビCMがいつまでも主、デジタルは従ではいられない。
  • 総収入試算①および②は共に極端な例ではあるが、広告主から要望が多い若者層を中心とするインプレッションだけでセールスをしたとしても十分にテレビ局の増収は見込めそうである。
  • 特に総収入試算②では、MF20-49だけの平均CPMが1,700円となったが、果たしてこれはプレミアムコンテンツを前提とするストリーミング(CTV広告)のCPMと比較して高いものなのだろうか? やはり、現在のテレビCMのCPMは安すぎるのではないか。視聴率をベ-スとするGRP取引にはディスカウント(テレビCMの価値の低下)が発生していると考えられる。
  • そこで課題となるのは、現状の国内のテレビ放送方式では「切り売りができない」地上波テレビCMのインプレッションをどうすれば「インプレッション取引」できるのか? である。
  • それは取引指標を「率から実数」で捉え直した「代替通貨」で、CM単位の視聴者をセグメント毎に「ターゲットCPM」(TCPM)で評価することにある。
  • テレビ広告で使用される取引通貨は、リアルな「お金」と等価交換できなくてはならない。したがって、絶対数を持つ「比例尺度」(※5)である必要がある。割合である視聴率は世帯あるいは個人全体で見ている時は問題がなかったが、より細かでカスタムなターゲティングも求められる今後のテレビ広告においては比例尺度とは呼べない。
  • おそらく、特定セグメントだけに(たとえばF1などの一つのセグメント)課金する取引形態では「CM在庫管理」が煩雑になると予測され、スポット全体に仕組みを広げることができない危惧がある。そこをどう解決するかのアイデアが必要となる。

(※5)数値の差と比に意味がある尺度

 次回は「インプレッション取引」を成功させるためのアイデアと仕組みについて、お話を進めていきます。

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役 ファウンダー
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

楳田 良輝(ウメダ ヨシテル)

株式会社プログラマティカ 代表取締役社長

関西学院大学卒。広告会社で営業部門を経験後、経営及び人事部門でデジタル領域への投資・事業戦略や組織・制度変革等を担務する。メディア部門を担当後、デジタルエージェンシーを経てコンサルティング会社に経営参加。大手広告主に対するマーケティング・コンサルティング業務等に従事する...

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/26 15:24 https://markezine.jp/article/detail/46061

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