Instagramとの相乗効果を狙う、Xの運用戦略
──Instagramの運用変更により、Xは「お客様との密なコミュニケーション」や「鮮度の高い情報の発信」といった役割の比重を大きくしたと話されていました。具体的に取り組まれていることを教えていただけますか?
片貝:運用変更から3ヵ月が経過し、その振り返りを踏まえて新たに導入したのがXの広告配信です。これまではオーガニック投稿に注力してきましたが、Xの高い拡散性を考慮し、広告も活用してリーチの最大化を図ることにしました。
従来から多くのコメントが寄せられるアカウントでしたが、広告配信の開始により、さらに幅広い層にアプローチできるようになると考えています。その結果、新たな反応も得られるようになるでしょう。各投稿に対する反応を検証することで、より効果的な運用につなげることを目指します。

また、Xで話題となったコンテンツに興味を持たれたユーザーの方々が、続いてInstagramで詳細情報を検索するという行動パターンを促進できると考えています。
コーセーのSNS戦略:次なるステージへの展望と課題
──KOSÉ公式アカウントは次のフェーズに向けた段階にあると思います。最後に、現時点でのお取り組みを振り返っての感想をお聞かせいただけますか。
津野:特にInstagramにおいて、3つのブランドそれぞれの世界観を表現しつつ、ユーザーの方々に理解していただくための投稿を行うことは始めたばかりということもあり、難しさを感じています。各ブランドは独自の世界観を持っており、さらに商品ごとにも異なる色彩やメッセージを有しています。このような多様性を持つ情報を、どのように整理し、わかりやすい情報のストック場として機能させるかが今後の課題です。

片貝:今回の変更により、Instagramのトップページは非常に洗練されたものになりました。各ブランドの世界観がより明確に表現されるようになったと思います。ユーザーの方々にとっても、特定の商品に関する投稿や、過去に発売された製品の情報を容易に見つけられるようになり、利便性が向上したと考えております。
今後は、各商品の情報をわかりやすく提示するという現在の利点を維持しつつ、3つのブランドそれぞれの独自の世界観を保ちながら、アカウント全体としての統一感を創り出すことに一層取り組んでいきたいと思います。
ここに注目!コーセー流SNS活用のポイント
コーセーさんは、「競合他社もやっているから」「化粧品だから、なんとなくInstagramに注力」ではなく、アカウント特性をふまえた適切な戦略設計と、予算・リソースをふまえた実現可能な運用フローの構築を徹底しています。
また、“短期的な数値目標にこだわるのか、中長期的なブランディングに振り切るのか”というテーマについても、SNS担当者だけに留まらず、各ブランド担当の皆様としっかりと議論しています。ここが、ブランドに関わるすべての人が納得感をもって日々のSNS運用に携わることができているポイントだと考えられます。