各検索エンジンはユーザーの期待に応える努力をしているか?
つぎに、「MS Rewards(ポイントプログラム)の普及」について言及したい。Googleのクオリティの悪化が原因で、Microsoft Bingに乗り換えた人も多いだろう。が、しかし、検索クオリティは気にならない人であっても、ポイントが気になる人は多いだろう。つまり、Bingで検索するとポイントが貯まって、楽天ポイントやnanaco、Pontaなどに交換できるから、「Bingは、お得な検索エンジンだ」と思って乗り換えた人も、かなりいるはずだ。
MS Rewardsのポイントは、Bingで検索したりブラウザEdgeを使ったり、MSNでニュースを読んだり、Xboxでゲームをしたりすると獲得できる。Microsoftは「100万を超える非営利団体から選択してポイントを寄付できます」と大きく謡っていて、American Red Crossなど人道支援団体に寄付できるようになっている。nanacoやPonta、そして、楽天ポイントへの交換希望のユーザーが多く、爆速で在庫切れ(入荷待ち)になっていると聞く。Amazonギフト券やAppleギフトカードの交換もできるようだが、いずれにしても、日本で人気のあるポイントプログラムと交換できるようにすることで、ユーザーの期待に応えながらポイント還元しているようである。
先ほど引用した記事「Google検索の品質悪化はリーダーが変わったことの影響だという指摘」にあるように、Google検索のトップが交代して「ユーザーファースト」から「広告主ファースト」に転換した。Google経営陣の考え方が「ユーザー至上主義」から「成長史上主義」に転換したのだとするならば、MS Rewardsでユーザーの期待に応えながらポイント還元するのは、いかにも対照的で、インパクトが大きくなっているのだろう。
おそらく、多くの人が気づいているはずだ。Googleは、ユーザーを犠牲にして、Googleの広告売上(お金)を優先しているのだ、と。そして、それとは対照的に、Microsoft Bingは、ユーザーの期待に応える努力をして、利益の一部(お金)を削ってユーザーに返したい、だから、ポイント還元しているのだ、と。
長年のGoogleユーザーとしては、とても悲しいことだ。だが、現実に起こっているクオリティ悪化が示す事実は、そのように見えてしまう。
Googleを使えば使うほど、我々ユーザーはGoogleの広告売上の材料にされている。ユーザーのUX改善のために、我々の検索履歴データ・閲覧履歴データを使って欲しいのに、「広告主ファースト」を掲げて広告売上(お金)のアップを優先している(ように見える)。つまり、Googleがもっと儲かるための材料に我々がなって、Googleの売上を優先するという姿勢だ。
Google経営陣は当然、ユーザーが離れていくことはわかっているはずだ。ということは、検索シェアが落ちてもいい、そのネガティブインパクトを引き受ける覚悟で、戦略的にやっているのだろう。逆にいえば、「それほどのリスクを冒してまで売上(お金)を重視しなければならない」理由があるはずだ。それは、生成AI・Personal AIで劣勢である事実や、GDPRの影響、Googleの1st Party Dataが弱いことなど、いくつかの複合的な理由がありそうだ。「お金の為には、ユーザーの犠牲も仕方がない」という判断を、仕方なく、戦略的にせざるを得ない。そこまで追い込まれるほどの理由があるのだろう。本当に不憫でならない。
ところで、Microsoft Rewardsは、私の使い方だと、1ヶ月に数百円~500円程度貯まる。1,000円相当分ほど貯まったところで、私もAmazonギフト券と交換した。正直いって、ちょっと感動した。だって、検索したりニュースを読んだりしただけなのだ。はじめての時は「えっ、本当にAmazonで買い物できちゃう!」と思った。Microsoftからお金をもらっているような感覚になった。
