インプレッション取引における「総量評価」の考え方
さて、ここまでの例では複数の広告キャンペーンに対して広告主がすべてのセグメントにTCPMを設定し、totalTCPMを算出するということをご理解いただくために、かなり細かな図表でのご説明となりました。totalTCPM(総量評価)の考え方は非常に重要ですので、いま一度、簡易的な計算でわかりやすくご説明します(図表3)。

広告主A〜Cが各セグメントにTCPMを設定します(これなら買ってもいいと思える金額)。その際、各広告主は次のようなターゲット設定をしているとします。
*( )内の金額がTCPM
- 広告主A:F1のみがターゲット(5,000円)
- 広告主B:MF1をメインターゲット(1,500円)、MF2が周辺ターゲット(1,000円)
- 広告主C:高齢層ターゲット(500円)
- 広告主D:個人全体(従来通りのGRP取引)
対象となるCM枠は個人全体視聴率で3.0%(金曜日/25時台/PT)です。%コストを15万円で計算するとGRP取引では450,000円となります(広告主D)。
広告主A〜Cが設定した各セグメントのTCPMにインプレッション数を掛け合わせて、それぞれにセールスした場合のCM金額を算出します。
結果は、広告主Bがもっとも高い金額(574,161円)/totalTCPM(498円)となり、MF1層+MF2層に効率的となるこのCM枠は広告主Bに割り当てられます。ここで重要なことは、広告主Bは単に一番高くCM枠を買うということではなく、総量評価のインプレッション取引においては広告主BにとってもこのCM枠がよりターゲット効率が高くなっているということです。それは次回以降でご説明します。
当然、同じ個人視聴率3.0%のCMでも視聴者構成はすべて異なりますので、CM枠が違えば、同じTCPMの設定であっても割り当てられる広告主もCM金額も都度変わることになります。
もちろん、GRP取引の広告主Dに買ってもらうのが最も高くなるCM枠も存在しています。
次回は「トータルターゲットCPM」の考え方をベースとして、CM1本単位ではなく広告キャンペーン単位で総量評価のインプレッション取引を試算する例などをご紹介します。