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商品のヒットに重要なのは「コミュニティ外への伝搬」 Yahoo!検索のビッグデータを基に分析

ヒットを単発で終わらせないための四つのポイント

━━ヒットを生み出すことができたとしても単発で終わってしまったというケースはよく見られますし、長期的に継続させることはやはり容易ではないと思われます。企業がヒットを長期化させるために意識すべきポイントを教えてください。

 ヒットを持続化させる方法として、大きく四つのポイントが重要だと考えています。一つ目が、「消費の前倒しを行わずニーズに合わせて施策の投下を行う」です。たとえば、商品が一時的に話題になった際に、手持ちの施策をすべて投下してしまうパターンが見られることがあります。しかしこれだとそれ以降、購入を促すための効果的な施策が行えなくなってしまいます。

 重要なことは、継続的に話題を投下し続けることで巻き込む人の数を増やしていくことです。そのため、その時々のニーズを正しく捉え、正しいタイミングでニーズの増加を促すきっかけとなる施策を行うことが重要です。話題になったからと言って一回の消費で商品が持つポテンシャルを全部出しきってしまうと、過去のデータの傾向から持続化は難しいことが多いように思えます。

 二つ目が「質や実用をともなっている」ことです。拡散の仕方には、大きく分けると「テレビやSNSなどで紹介されたことにより一時的に話題化したもの」と「口コミで良いレビューが広がったことで徐々に話題化したもの」の2パターンがあります。この2パターンのうち、後者の口コミによる話題のほうが、よりヒットの継続につながります。なぜなら、この拡散の仕方は、実際に活用していてメリットを感じる良い商品であることが前提にあるためです。このように商品の質が“良いものであるか”はヒット継続には重要なポイントになると言えます。

 三つ目が「商品の体験後に発信したくなる仕組みができている」ことです。先述の通り、実際に使った人がSNSやリアルなコミュニケーションの場において発信・共有することで伝搬は広がっていきます。そういう意味で、意外性のあるネーミングやビジュアルなども今の時代ではかなり効果的だと思います。発信したい、共有したいをひと押しする何かという付加価値を持たせることができるかどうかもポイントだと考えています。

 そして四つ目が、「ヒット後も新規のユーザー・消費者が参加しやすい」ことです。もちろん最初にヒットを狙う際には、セグメントを分けて特定のコミュニティに対してアプローチしたほうが成果にはつながりやすいでしょう。

 しかし、特定のコミュニティに浸透し、ある程度話題になった後には、より多くの人達が後からでも気軽に参加できる環境や仕組みでないと、ヒットが一部の界隈で終わってしまいます。そのため、いかにヒット後も新規消費者が入り込みやすい環境を作れているかは非常に重要です。

 この点で、漫画作品や食品などの商品は話題になってから購入しても問題なく楽しめるので、ヒットにつながりやすいです。一方で、仕様やルールが複雑だったり新規参加者が二の足を踏みやすい価格設定だったり、欲しい時期に供給が追い付いていない場合は要注意と言えます。

大切なのは社会の潮流に乗ること

━━これまでのトレンド分析を踏まえ、ヒット商品が持つ共通の法則を教えてください。

 強いて傾向を挙げるとするならば、社会の大きな潮流に乗れた商品・サービスが流行しやすい傾向があると言えるでしょう。少し前であれば、「投資」や「生〇〇(生ドーナツなど)」などのキーワードがこれに当てはまります。

 とはいえ、これらは社会情勢や環境によっても大きく左右されてしまうため、今後ヒットする商品作りの確定的な勝ちパターンは現時点では見つかっていません。

 ただ、こうした現状を今後ブレイクスルーする可能性があるのが生成AIです。生成AIが出てきたことで、膨大な情報を素早く分析できるようになりました、こういったテクノロジーの進化により、新たなヒットの法則が見つかる可能性も生まれてくるかもしれません。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46172

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