RevOpsは、地道な取り組みこそ重要
──RevOpsは収益を社内で最適化する組織として定義されますが、お話を伺っていると、実態とは乖離があるのではと感じます。
山田:マーケティングオペレーションは、名称と実態が比較的近い距離にあるのでイメージしやすいと思いますが、RevOpsにある「レベニュー」という言葉にはより多くの機能が含まれるため、実際の業務内容が捉えづらくなるかもしれません。実際に何を行うのかが理解しにくくなり、誤解が生じやすくなる可能性もあると考えています。
──RevOpsを導入している企業は日本にはまだ少なく、経験や知見を有している人材を獲得するのは困難だと思います。ソフトバンクのレベニューオペレーション室は、ポテンシャル人材を育成・強化する形で取り組みを進めてきたのでしょうか?
山田:そうですね、ご想像とほぼ乖離はないと思います。組織として継続的な学習に重点を置き、とにかく学び続ける日々です。
実際、「日々の仕事に向き合っているだけでは通用しない。新しい情報を取り入れ、専門性を高め、良いお客様体験を届けるためには、相当の学習をする必要がある」と、自発的に学習に取り組む文化が醸成されていると感じます。まさに社員体験の充実につなげられているでしょう。
学習を当たり前のこととして受け入れること、学習の深さや濃さを高めていこうという気運が、私たちのチームを中心にかなり浸透してきたと感じています。
ちなみに、私たちが普段参考にしているのは、海外の情報です。海外で標準化された取り組みを積極的に取り入れるようにしています。海外の通信事業者の方々や、テクノロジーシステムのベンダーの方々と毎日何かしらのコミュニケーションをとっており、得られた情報を社内向けのウェビナーなどでシェアしています。週3回、毎回異なるテーマを取り上げています。
──海外で最先端と言われているような企業も、RevOpsについては地道な取り組みをされているのでしょうか?
山田:海外でも活躍されている方ほど、地道に学習を重ねている印象を受けます。このことは日頃のコミュニケーションで強く感じることです。数字やグラフを眺めるだけで満足するようなことはありません。本当に細かい部分までよく理解されています。
学習し、実際の業務の中に落とし込み、実現していくこと。このプロセスを通じて、より深い理解と実践的なスキルを獲得できると考えています。
──RevOpsを導入し、組織全体の収益を拡大していくとき、組織の「上」から最適化をかけていくイメージがある読者もいるかもしれません。ですが、ここまで伺っていると、ソフトバンクでは社員体験の充実や地道な学習の積み重ねなど、「下」から押し上げているのですね。
山田:ええ。私たちは、現場のプレイヤーが具体的にどのような業務を行っているかに注目しています。なぜなら、役職者ではなく、現場のプレイヤーである社員が日々のお客様体験を創出しているからです。現場のプレイヤーが日々どのように仕事を進め、何を感じているのかを丁寧に寄り添って理解することが大切だと思います。

──最後に、今後の展望をお聞かせください。
山田:引き続き社員体験を充実させることに力を入れていきたいと考えています。一人ひとりのメンバーの専門性を高めることで他に負けないレベルを維持し、その先にあるお客様体験の向上にもつなげていきたいです。レベニューオペレーション室を立ち上げたのが2023年10月、まだまだ道半ばです。大きな変化を感じられるのはこれからだと思います。私たちの取り組みが良い意味で他の企業様の参考になれば嬉しい限りです。