総合的な要素と部門特有の専門性を組み合わせていく
──RevOps導入にあたっては、システムやデータを一元化し全社員に活用してもらうことが必要になると思いますが、多くのBtoB企業はそこに至るまでに苦心していると見受けられます。ソフトバンクの場合はどうでしょうか?
山田:たしかに、実際の活用を促進するためのEnablement(有効化)には、多大な労力を要します。しかし、私たちは、それ以前の段階である「設計」がより重要だと捉えています。設計は、マーケティングオペレーション(MOps)の何倍も大切です。専門的かつ高度な設計ができるかどうかが成功の鍵を握るでしょう。まずはこの基礎となる部分の充実を図ることを重視しています。
──具体的に何を設計するのでしょうか?
山田:大きくは、「業務プロセス」「データ構造」「システム」の3つです。
まず業務プロセスとは、社員の各役割における行動、そしてそれによって生み出されるお客様体験までを含む一連の流れを指します。続いてデータ構造の設計では、業務プロセスの中で生成される様々なデータ(顧客情報や購入製品・サービスの詳細、納品先情報など)を適切に管理し、その後の顧客体験や社員の業務に活用できるよう、正確にデータを保持します。

そしてシステム設計では、業務プロセスやデータを支える各システムが担っている機能を明確にし、互いが連携し機能を実現できるようにします。これら「業務プロセス」「データ構造」「システム」の3つの要素をバランスよく整えながら進めることが大切だと考えます。
──3つの要素を連携させることで、レベニューが最適化していくといった考え方でしょうか?
山田:そうですね。結果としてレベニュー最適化にもつながると思います。
加えて、重視しているのが社員体験を充実させることです。特にBtoB事業においてはお客様体験を生み出す源は社員にあるため、社員の体験を向上させることが良いお客様体験の創出につながると考えています。
「業務プロセス」「データ構造」「システム」の3つを整えつつ、社員体験の充実を図っていく。こうすることで良いお客様体験を創出し、結果としてビジネスも伸びていくという考え方です。
RevOpsでは、総合的な要素と部門特有の専門性を両軸で考える必要があります。たとえば、「業務プロセス」「データ構造」「システム」の3要素は、営業やマーケティングに限らず、多くの部門に関係するという意味で総合的なものです。一方で、各部門特有の専門性も存在します。これらの総合的な要素と部門特有の専門性をうまく組み合わせていく必要があるのです。