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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

事例に見るパーパスブランディングの最前線 存在意義を示した四つのアクション

事例3:JBL - Guide Play

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JBL Quantum Guide Playの公式サイトより

 家族や友人とゲームをするのって楽しいですよね。それは障害者にとっても同じで、ゲーム業界ではD&Iという観点から、多様なユーザーにゲーム機会を提供しようと努力がされてきています。一方でFPSと呼ばれるシューティングゲームのジャンルでは、映像を軸に勝負が行われることから、視覚障害者に対しての機会提供が非常に難しいという問題を抱えていました。

 そこでオーディオメーカーであるJBLは、米国のNPO団体であるAbleGamersと2年間に及ぶ共同開発を行い、Guide Playというゲームをリリースしました。このゲームでは、視覚的要素を空間サウンドに変換するため、視覚障害者は自身や対戦相手の位置を聴覚的に確認でき、通常のFPSゲームのように楽しめます

 本キャンペーンは、JBLが展開するゲーミングヘッドセットシリーズ「QUANTUM」の機能面での優位性を証明しながらも、視覚障害者のコミュニティーに対して、非常に強いエンゲージメントを生み出した良事例となっています。

事例4:マスターカード – Where to Settle

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マスターカード公式サイトより

 最後にマスターカードのキャンペーンを取り上げます。

 ロシアのウクライナへの侵攻を受けて、現在多くのウクライナ難民がポーランドで生活を始めています。実際に2022年にポーランドでは31万件の開業がなされましたが、その10社に1社はウクライナ人によるものでした。ウクライナ人にとって異国の地でビジネスを立ち上げるというのは困難な一方、ポーランド人も新たなビジネスの競争相手としてウクライナ人を脅威に感じ始めていました。

 そこでマスターカードは、Where to Settleというアプリの提供を開始しました。これはマスターカードの匿名化された決済情報を含む様々なデータから、新規ビジネスを立ち上げる際に、最も成功する確率が高いロケーションをユーザーに教えてくれるものです。また周辺の店舗との相関性(たとえば「散髪屋とレストランが隣同士になっていると、お互いのビジネスは成功しやすい!」など)もアルゴリズムに反映されました。

 結果、新たなビジネスオーナーの約40%はこのアプリを使用し、また「ビジネスはお互いに競争し合うのではなく協力し合うもの」という考えが広がり、ポーランド人とウクライナ人が協力して生活をともにしていくきっかけになりました。

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まとめ:「個人化するパーパス」

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/21 08:30 https://markezine.jp/article/detail/46330

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