事例3:JBL - Guide Play
家族や友人とゲームをするのって楽しいですよね。それは障害者にとっても同じで、ゲーム業界ではD&Iという観点から、多様なユーザーにゲーム機会を提供しようと努力がされてきています。一方でFPSと呼ばれるシューティングゲームのジャンルでは、映像を軸に勝負が行われることから、視覚障害者に対しての機会提供が非常に難しいという問題を抱えていました。
そこでオーディオメーカーであるJBLは、米国のNPO団体であるAbleGamersと2年間に及ぶ共同開発を行い、Guide Playというゲームをリリースしました。このゲームでは、視覚的要素を空間サウンドに変換するため、視覚障害者は自身や対戦相手の位置を聴覚的に確認でき、通常のFPSゲームのように楽しめます。
本キャンペーンは、JBLが展開するゲーミングヘッドセットシリーズ「QUANTUM」の機能面での優位性を証明しながらも、視覚障害者のコミュニティーに対して、非常に強いエンゲージメントを生み出した良事例となっています。
事例4:マスターカード – Where to Settle
最後にマスターカードのキャンペーンを取り上げます。
ロシアのウクライナへの侵攻を受けて、現在多くのウクライナ難民がポーランドで生活を始めています。実際に2022年にポーランドでは31万件の開業がなされましたが、その10社に1社はウクライナ人によるものでした。ウクライナ人にとって異国の地でビジネスを立ち上げるというのは困難な一方、ポーランド人も新たなビジネスの競争相手としてウクライナ人を脅威に感じ始めていました。
そこでマスターカードは、Where to Settleというアプリの提供を開始しました。これはマスターカードの匿名化された決済情報を含む様々なデータから、新規ビジネスを立ち上げる際に、最も成功する確率が高いロケーションをユーザーに教えてくれるものです。また周辺の店舗との相関性(たとえば「散髪屋とレストランが隣同士になっていると、お互いのビジネスは成功しやすい!」など)もアルゴリズムに反映されました。
結果、新たなビジネスオーナーの約40%はこのアプリを使用し、また「ビジネスはお互いに競争し合うのではなく協力し合うもの」という考えが広がり、ポーランド人とウクライナ人が協力して生活をともにしていくきっかけになりました。
