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第106号(2024年10月号)
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事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

事例に見るパーパスブランディングの最前線 存在意義を示した四つのアクション

 国内でも“兆し”あるマーケティングの新たな潮流に、業界を先進するブランドはどう向き合っているのだろうか? 世界で100カ国以上にオフィスを展開する広告代理店HAVASで日本のエグゼクティブ・ディレクターを担う北市卓史氏が、同社が持つ専門研究チームとそのネットワークを活かし、世界各国の先進的なブランドによる取り組み事例を紹介する本連載。今回は、「パーパスブランディング」の現状とその事例に迫る。

なぜ今パーパスなのか? 企業が持つ大きな影響力

 突然ですが「企業の目的は何?」と聞かれた場合、皆さんはどうお答えますか?

 歴史を紐解くと、それは長らく経済的な利益の追求とされてきました。“会社は株主のもの”と定義され、企業活動は存続を目的とした利益の最大化を目指して行われてきました。そして厳しい市場競争の中、企業は利益創出の努力を行い、それが長らく経済の発展を促してきました。

 結果として現代では、時価総額が国家の経済規模を上回る「超国家企業」も現れ、経済だけでなく、環境問題やテクノロジーの発展まで、社会全体に対して非常に大きな影響力を持つようになりました。

 そうなると、より多くのことが企業に求められるようになりました。生活者は企業やブランドが世の中を良い方向へ導くのか、社会に悪影響を与えないか、目を光らせるようになりました。例えば国家/国家連合レベルでの、CO2排出量の規制、データ保護規則や、最近ではAI規制法の成立なども、それに該当するかと思います。

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 社会からの要請を受け、企業も自身のあり方を見直すようになりました。従来の株主資本主義から脱却し、存在目的(パーパス)を再定義して、より大きな社会的な義務を果たそうと努めています。近年では法令遵守にとどまらず、環境、経済、社会に及ぶ広範囲のCSR活動を行い、持続可能な社会への寄与を目指し、その姿勢をPRやマーケティングコミュニケーションを通して発信してきました。

 その結果、企業と生活者は固い信頼で結ばれて……とはなっていないようです。

多くのブランドが「無くなっても構わない」と考える生活者たち

 HAVAS社が世界30カ国にて、主要な約2,200のブランドを調査したところ、このような企業側の努力にもかかわらず、生活者はその75%のブランドに対して「世の中から無くなっても構わない」と考えていることがわかりました。非常にショッキングな数字かと思います。

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 また生活者は多くのブランドが十分な社会的な責任を果たしていないと捉えており、そのようなブランドに対しては、商品を購入したり、サービスを利用したりするのをやめると考えています。これは決してブランドだけの責任ではないですが、企業が超国家的な力を持つ現代において、多くの生活者が今の世の中は間違った方向に進んでいると感じているのです。

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 以上をまとめますと、生活者は資本主義の中でパワーを増す企業に対し、社会へ良い影響を還元してくれるように望んでいます。企業側もその要望を受けて、自らの存在目的を再定義し、社会との共生を目指してきたはずです。それにもかかわらず、多くのブランドは無くなってしまっても構わないと考えられているのです。

 では、どうすれば良いでしょうか? 今回の記事では、企業やブランドの存在目的(パーパス)という観点から、キャンペーンの成功事例を見ていきたく思います。

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/21 08:30 https://markezine.jp/article/detail/46330

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