ここにも使えるデータが！ポテンシャルは未知数
──Connect One構想の実現に必要な要素として「データ活用基盤の充実」が含まれています。データ連携の進捗を教えてください。
当社では約200ものサービスを運営しています。但し、そのすべてでビジネス活用を想定したデータの取得を行っているわけではありません。つまり、ビジネスの観点で高いポテンシャルを秘めているものの、企業の皆さまに活用いただける状態になっていないデータが山のようにあるのです。様々なサービスで取得してきたユーザーの活動情報のようなものを、正しい方法で企業の皆さまが活用可能な形に加工してお届けする。このあたりのデータアーキテクチャのデザインにも約半年かけて取り組んでいます。
これらのデータの活用用途の一つに、広告配信の最適化があります。Yahoo!広告 ディスプレイ広告の過去配信データをビジネスマネージャーで連携し、LINE広告でも配信したところ、スポットで見るとパフォーマンスが40%リフトするケースもざらに出てくるのです。アルゴリズムと呼ばれる広告配信自動化の仕組みにすべて取り込んで運用できているかと言うと、まだできていません。しかしながら、我々が既に保有しているデータを使える状態にするだけで、クライアントのビジネスを改善できるとわかりました。このポテンシャルに気付けたのは、非常に大きな一歩だと感じています。
先行トライが将来的な価値に
──データ連携にともない、新しくリリースされた機能などはありますか？
機能と呼べるかはわかりませんが、LINE公式アカウントが配信するメッセージの受信状況を踏まえたYahoo!広告の配信など、プロダクト間連携のようなものは既にいくつかリリースしています。
また、2024年2月にYahoo!広告 ディスプレイ広告（運用型）で提供を開始した「スマートターゲティング」も新しい機能の一つです。Connect One構想の下で整理されつつあるデータを基に、コンバージョンに至る可能性が高いユーザー層への優先的な配信を自動で行います。スマートターゲティングの導入により、コンバージョン数が導入前比＋130％を示した事例もあります。
──LINEヤフーの広告事業が進化する中、その機能や効果を最大限に享受するため、広告主が意識すべきポイントをうかがいたいです。
ありがたいことに、Connect Oneがプラットフォームとして成立する前段階にありながら、複数の広告プロダクトを掛け合わせて利用してくださっている企業が増えています。たとえば、Yahoo!広告に出稿しながらLINE広告にもチャレンジしてくださる企業や、LINE公式アカウントを新設してくださる企業などです。アナログな方法でLINEとヤフーのデータをかけ合わせたり、LINE広告とYahoo!広告をクロスオーバーさせて広告を配信したり、実証に協力いただいています。
試行錯誤を通じて、新しい知見やノウハウが数多く得られます。「このワードを検索していた人が、この広告に対してこのような反応を見せるのか」などの発見を経て、開発中のソリューションが洗練され、将来的にはクライアントの皆さまにも価値を還元できるはずです。もちろんご予算の合う範囲内で、Yahoo!広告およびLINE広告のディスプレイ広告や、検索広告、LINE公式アカウントなどを横断した取り組みに先行してチャレンジいただけると大変うれしく思います。
